猿は群れでどう動く?行動パターンと警戒のしくみをわかりやすく解説

ニホンザルは、群れで森林を移動し、食べ物を探しながら暮らしています。食べるときの個体同士の距離、移動を始めるタイミング、人を見たときの反応には、仲間との関係や過去の経験が表れます。この記事では日本のニホンザルを対象に、群れの仕組みと行動パターンを説明し、同じ場所で繰り返し目撃される背景を考えます。

この記事でわかること
    • 猿の群れの構成と、活動によって変わるまとまり方
    • 順位や仲間との関係が、採食・移動・警戒に及ぼす影響
    • 移動・採食・休息のつながりと、活動する時間帯
    • 食べ物の選び方、行動範囲、同じ場所を使う理由
    • 学習による行動の変化と、人里での森林・農地の利用

群れは猿の行動を組み立てる単位になる

ニホンザルの群れは、生活に利用する一定の範囲を持ち、その中を移動しながら採食と休息を繰り返します。一緒に暮らす個体同士の関係は、移動中に誰と近くにいるか、食べるときに誰を避けるかにも関わっています。

群れで行動すると何が変わるか

猿の群れ

群れの中では、自分で食べ物を探す行動に加え、近くの仲間の位置や動きに合わせる行動が生まれます。屋久島の野生群を調べた西川真理氏の群れのまとまりに関する研究では、春から初夏に大人のメス6頭を対象に追跡し、採食・移動中には個体間距離が広がり、毛づくろい・休息中には縮む傾向が見られました。

この結果から、少数の猿が見えた場合でも、採食中に群れが広がっている場合があるため、実は大きな群れである可能性があると考えられます。

群れの規模が変わる条件

群れの大きさには、食物を確保できる条件、出生と死亡、個体の出入り、群れの分裂が関わります。子どもが生まれて育てば頭数は増え、死亡や群れからの離脱があれば減ります。オスが別の群れへ移ることや、複数の個体がまとまって別の群れをつくることも、頭数を変える要因です。

食物の条件は、出産と子どもの生存に関わる

食べ物を十分に得られるかどうかは、メスが出産する割合や、生まれた子どもが育つ割合に関わります。大分県高崎山の餌付けされたニホンザルを50年以上の記録から調べたKurita氏らの研究では、給餌量の減少に伴い、初めて出産する年齢が上がり、出産の割合が下がり、乳児の死亡率が上がって、個体数の増加が鈍りました。食物条件は、こうした繁殖と生存を通じて、数年にわたる頭数の変化に影響します。

同じ餌場で食べる仲間と、周囲の群れとの競争がある

食物の条件には、森全体にある量に加え、一つの餌場にどれだけ食物があるかも含まれます。たとえば、実のなる木に何頭も集まり、全員が食べ終わる前に実がなくなれば、残った個体は別の食物や場所を探す必要が出てきます。一緒に食べる頭数が増えると、その餌場で必要になる食物の量も増えます。

屋久島の海岸林で大小2つの野生群を比較した研究では、大きい群れのほうが採食時間が長く、特に成熟した葉を食べる時間が長くなっていました。一方、移動時間と移動距離は小さい群れのほうが大きく、著者らは、ほかの群れとの競争で不利になることが移動の負担につながると考察しています。群れで食物を確保する際には、仲間同士で同じ食物を利用する負担と、ほかの群れと餌場を競う負担の両方が関わります。

対立や順位の変化が、群れの分裂につながる

群れの中で対立が強まったり、オスの順位が変わったりすると、一部の個体が元の群れと距離を取り、まとまって行動することがあります。その集団が独立して移動・採食するようになり、所属する個体も定まってくると、別々の群れとして暮らすようになります。

具体例として、餌付けされている嵐山の群れで1986年に起きた分裂では、第2位のオスの死亡後にオス同士の争いが起き、順位を落とした2頭の周囲に複数のメスが集まりました。この小集団と元の群れとの対立が強まり、やがて独立して移動する2つの群れになっています。分裂後も、母方の血縁が近いメス同士は同じ群れに残る傾向がありました。

また、屋久島の餌付けされていない群れを調べた研究では、1983年にメス同士の対立から、メスと子どもが2つの集団に分かれたと報告されています。オスたちは、分かれた集団の間を行き来した後、それぞれに定着しました。

このように、食物条件が出生や生存を通じて頭数に影響する一方、分裂は、一緒に暮らす個体の組み合わせを変えます。食物が豊富で子どもが育つ地域でも、群れが分裂すれば一群あたりの頭数は小さくなります。群れの規模には、周囲で得られる食物だけでなく、子どもが育ってきた経過や、最近分裂したかどうかという履歴も表れると考えられます。

群れの中の順位や関係が、採食と警戒の動きを左右する

猿同士の順位関係は、近づいた相手を追い払う、相手への接近を避けるといった行動に表れます。周囲を見回す程度や、集団移動を始める回数にも、順位との関係が報告されています。

順位が採食に影響する場面

自然の群れを対象にした古市剛史氏の採食と個体間距離の研究では、高順位の個体による追い払いと、低順位の個体による接近の回避が報告されています。公開抄録によると、これらは個体同士が近づいたときに起こり、頻度は低いものでした。普段の採食距離はそれより大きく、調査した群れでは順位が採食に及ぼす影響は小さかったとされています。

見張りのように周囲を見回す行動

周囲を見回す多さには、順位や発情状態との関係が報告されています。山本真也氏のビジランス研究では、嵐山の餌付け群の大人のメス23頭を調べ、非発情期には順位の低いメスで、発情期には順位にかかわらず、見回す行動が多くなることを確認しています。著者は、攻撃を受ける可能性と、周囲の個体への注意との関係を考察しています。

移動を始める個体と、後から加わる個体、群れがどう動くか

野生ニホンザルの集団移動を調べたJacobs氏らの研究の公開抄録では、順位の高い個体ほど移動を始める回数が多かった一方、後から何頭が加わるかには、開始個体の順位の効果が認められませんでした。移動中に一緒にいるメスの組み合わせには、血縁が強く関わっていました。

この結果から、移動を始めるきっかけと、その移動が群れに広がる過程には、異なる関係が働いていると考えられます。先に歩き出す個体の順位に加えて、後を追う個体同士のつながりが、群れの動きをつくっているのでしょう。

猿の行動は移動・採食・休息がつながって繰り返される

ニホンザルは森林を移動しながら食べ物を探し、食べ、途中で休息を取ります。食べ物を探して口にする行動を採食と呼びます。移動と採食は一日の中で何度もつながり、その日の泊まり場が決まると移動を終えます。

行動サイクルの基本

サルの一日は、食べ物を探して移動し、見つけた場所で食べ、休息を挟んでまた移動する、という流れです。歩きながら食べ物を探す時間もあるため、移動中にも採食が入ります。一つの場所で見られる姿は、こうした一連の行動の途中に当たります。

採食にかかる時間で、移動と休息の配分が変わる

屋久島と金華山の活動時間を比較した研究では、両地域とも、日が長い月ほど、また採食時間が短い月ほど、移動と休息に使う時間が長くなりました。一日の中で食べるためにどれだけ時間を使うかが、移動や休息の長さと結び付いています。また、この研究から猿の活動時間は一日の中で決まっている事がわかります。

同じ場所を再び利用する条件

ニホンザルは食物のある場所を覚えます。食べ物を繰り返し得られる場所は、その後も移動先の候補になります。森林で特定の木を再び訪れる行動と、人里で食物を得た場所へ戻る行動には、過去の採食経験を次の移動に使ういう共通点があります。

採食行動は、食べ物と食べる場所を選びながら進む

ニホンザルは、果実、種子、花、若葉、昆虫などを食べます。採食では、食べられる物を見つけることに加え、どこなら多く取れるか、どのくらいの速さで食べられるかも、利用する場所と関係します。

食べ物の探し方と選び方

猿の食物の量で変わる採食場所

中川尚史氏によるケヤキの種子を食べる場所の選択についての研究解説では、同じ一本の木について、樹上と地上の利用を比べています。猿は種子の量の変化に応じ、より多くの種子があり、速く食べられる側を選んでいました。

同じ木の同じ食物でも、落ちた種子が増えれば、地上で食べる価値が変わります。この観測から、サル対策を考える上での重要の知見を得ることができます。猿は採食をする場所を決めるときに得られる餌の量が多いと思われる場所を基準に行動をしているということです。

畑の作物が実り、山で餌を探すよりも多くの食べ物を簡単に得られるようになると、猿がその畑を選ぶ可能性は高まると考えられます。今は被害がなくても、作物が実るにつれて餌場としての条件が変わり、収穫期に向けて猿に狙われやすくなるということです。

群れの中で採食が進む仕組み

金華山の野生群のメスを調べたKazahari氏・Agetsuma氏の共食と採食量の研究では、ブナとケヤキの種子を食べる際、同じ木で食べる仲間が多いほど、一頭が一度の滞在で食べた量も多いという関係が見られました。

同じ研究者による仲間の位置確認と採食効率を調べた研究では、同じ木で食べる仲間が少ないほど、ほかの仲間の位置を確認する見回しが増え、仲間についていくために木を離れやすくなっていました。また、見回しが多いほど、単位時間あたりに食べる量も少なくなっていました。食物をめぐる競争が弱い状況では、仲間が近くにいることで、群れの動きを確認して移動する負担が減り、採食を続けやすくなると考えられます。

この知見を畑の被害に当てはめると、作物が豊富で、複数頭が激しく取り合わずに食べられる状況では、一頭がその場所で食べる量も増える可能性があります。同じ頭数が侵入した場合でも、途中で仲間を追って移動するときと、その場に仲間がいて食べ続けられるときでは、失われる作物の量に差が出ると考えられます。

そのため、猿対策では、1匹でも猿を見かけた場合、出来るだけの最大限の対策をすぐに行うことが肝要となります。サルへの対策を放置すると仲間が学習して侵入する頭数が増えるだけでなく、採食する量も増えるため被害がすぐに跳ね上がってしまう為です。

ですので、対策の考え方として畑への侵入を防ぐことに加え、入り込まれた後に採食を長く続けさせないことも目標にするべきだと思います。作物が実る前に侵入防止の準備を進め、出没時に対応できる人や連絡先まで決めておく。群れが入り込み、まとまって食べ続けられる時間を減らすためです。柵の点検箇所や見回りの頻度に応じた方法は、畑・家庭菜園のサル対策で解説しています。

警戒の声や動きが、近くの仲間の反応につながる

猿が警戒する様子

猿は周囲の個体や人に注意を向け、声や動きに反応します。近くの仲間が鳴いたことをきっかけに人への威嚇が起こる例や、仲間が顔を上げるのに続いて自分も顔を上げる行動が報告されています。

警戒が始まるきっかけ

京都大学野生動物研究センターの幸島での母子の観察記録には、研究者が母子を追跡中、赤ちゃんザルが甲高く鳴くと、母親や周囲の猿から研究者へ威嚇の声が向けられた例が載っています。この場面では、子の鳴き声をきっかけに、近くの猿も人へ反応していました。

見回す動きが仲間に伝わる過程

Iki氏・Kutsukake氏の見回し行動の伝わり方に関する研究は、地獄谷の餌付け群が採食中に顔を上げ下げする様子を分析しています。人の声や仲間の接近など、外からの刺激に直接反応した場面を除いて調べたところ、周囲の動きへの反応は低順位の個体で起こりやすく、母子では子から母へ伝わりやすい傾向がありました。

これらの知見から、群れの警戒には、群れの中での弱者ほど警戒心が高く周りに気を配っており、それらの個体が警報機のような役割を果たしていると考えられます。

場所によって変わる人への警戒

幸島の観察記録では、給餌が行われて観光客も訪れる砂浜で、人によく慣れた様子が見られています。一方、研究者だけが入る森では警戒が強まります。同じ島の猿でも、日頃から人と接している場所と、接する機会が少ない場所で反応が違っていたようです。

行動の時間帯は環境によって変わり、目撃のされ方も変わる

ニホンザルの活動は、早朝から夕方までの日中が基本です。一日の中でよく動く時間には季節による違いがあり、屋久島の森林でのカメラ調査では、冬の地上活動が正午付近に集中していました。

目撃される時間帯が偏る背景

屋久島の地上活動をカメラで調べた研究では、冬の活動が一日の暖かい時間帯へ移っている可能性が考察されています。また、人による目撃記録には、観察する側がその場所にいる時間も関わります。たとえば朝の農作業中の目撃が続く場合、猿の活動に加え、人が観察する時間が朝に偏っている可能性も考えられます。

人と出会う時間と警戒の関係

幸島の森での観察では、とりわけ早朝や夕暮れに研究者への警戒が強まりました。給餌や観光で日頃から人に接する砂浜と、人があまり入らない森との違いから、その場所で人に出会う経験の積み重ねも、遭遇時の反応に関わると考えられます。

薄暗い時間帯にも活動が記録される

ニホンザルは明け方から動き始め、屋久島のカメラ調査でも日の出・日の入り前後に地上活動が記録されています。「夜に出るように見える」という目撃には、こうした薄暗い時間帯の活動が含まれる可能性があります。

猿の行動範囲と移動先は、食べ物と周囲の環境で変わる

群れが生活に利用する土地の範囲を、行動域や行動圏と呼びます。その広さは数平方キロメートルから数十平方キロメートルほどです。群れはこの範囲の中で食べる場所や休息する場所を使い、季節や環境に応じて利用場所を変えます。

行動範囲を決める要因

食物の分布に加え、周りの群れとの関係や森林環境の変化も、行動域に関わります。日々の移動では採食場所を訪れ、休息を挟み、泊まり場で一日の移動を終えます。食べるための移動と休むための場所の利用が、一つの生活範囲の中につながっています。

移動ルートには、繰り返し利用する餌場が関わる

屋久島の大人のメス5頭を追跡した西川真理氏の採食樹と移動に関する研究予稿には、特定の木を選んで繰り返し利用した記録があります。繰り返し利用した木へ向かうときは、移動距離が長く、速度も速いという関係が見られました。

著者は、食物を得られる見込みのある木を選び、その位置を把握している可能性を考察しています。この事実は、一度でも畑に猿が侵入して成功体験を与えてしまうと翌年も猿が戻ってきて食害をする強い根拠となります。したがって、一度でも畑を荒らされると猿との闘いが長期化する恐れが出てくるため、集落や山林でサルが出没したらサルに成功体験をさせる前に追い払いを行い、餌が食べられない場所と認識させることが猿対策では重要となります。

季節で変わる食べ物と利用場所

幸島で食物と採食場所の季節変化を調べた研究の公開抄録では、複数の主要な食物を利用できる場所で採食時間が長かったと報告されています。特定の季節や場所で利用できる果実などが、場所の選択に関わっていました。同じ行動域にいても、その時期にどこで何が食べられるかが変われば、よく利用する場所も変わるようです。

学習と仲間との関わりが、群れの行動を変える

ニホンザルの行動には、食物のある場所や人を覚える学習と、仲間との付き合いの中で新しい行動が広がる過程があります。食べ物の位置を覚えることは移動先に、新しい食べ方を身に付けることは採食の方法に関わります。

新しい食べ方が群れに広がる例

宮崎県の幸島では、1953年に若いメスがサツマイモを水で洗い始め、その後、同じ行動をする猿が徐々に増えました。人からイモを与えられていた群れの記録です。河合雅雄氏のイモ洗いなどの行動に関する研究では、年齢、血縁、個体同士の付き合いと行動の広がりが検討されています。このことから、猿は学習する事ができる動物である事がわかります。であるのなら、その能力を逆手にとって、畑に近づくと痛い目に合うということを学習させれば駆除を行わなくとも猿による被害を防ぐことができるというわけです。そのため、電気柵やスリングライフルでの直接的な痛みを与える方法が有効と考えられています。

人里の猿は、食物のある農地と近くの森林を利用する

人里に出る猿の生活は、農地の中と、その周囲にある森林の両方にまたがっています。畑で食べている場面と、近くの林へ入っていく場面は、採食・休息・移動がつながった行動として捉えられます。

食べ物の得やすさと接近

農作物もニホンザルの採食対象になります。栄養価の高い農作物などを安全に食べられると学習すると、その場所へ繰り返し出没するようになります。猿にとっては、森林内の餌場に加え、人が育てた作物のある場所も、食物を得られる移動先になっています。

森林に近い場所が利用される

滋賀県、徳島県、愛媛県の農作物被害を起こす7群をGPSで調べた海老原寛氏らの生息地利用の研究では、農地に近い森林や、森林に近い農地がよく利用されていました。農地内の記録の多くは、森林から50m以内でした。著者らは、開けた農地は人に見つかりやすく、長く滞在するには危険があると考察しています。

林と農地を行き来する動き

猿が林と農地を行き来する

同じ研究では、農地で短時間採食し、林の縁で休息や移動をしていると考察されています。つまり、食物を得る場所と、その近くで休息・移動できる場所がそろうことで、自分の畑が狙われる確率が劇的に上がると考えられます。また、畑から姿が消えた後も近くの森林に猿が潜んでいるということも十分考えられるので、追い払いを行って畑からいなくなっても、森林内まで追いかけて追い払いを行い、徹底的に猿が畑に近づかないように行動することが大切になります。

猿の群れと行動についてよくある質問

群れのつながりは母親と子どもの関係から続きますが、頭数や個体間の距離は変化します。周囲を見る行動、移動先の選択、同じ場所への再訪について、本文で扱った研究を踏まえて答えます。

猿の群れはなぜできるのですか?規模は変わりますか?

メスが生まれた群れに残って繁殖し、母親、娘、姉妹などのつながりが続くことが、群れの成り立ちの基本です。群れには大人のオスも加わります。頭数には地域差があり、大きくなった群れが分裂することもあります。

猿には見張りのような役割がありますか?

周囲を見回す行動は見られます。嵐山の研究では順位や発情状態によって見回しの多さが違い、地獄谷の研究では近くの仲間の動きに反応して顔を上げる様子が確認されています。周囲へ向ける注意は、個体の立場や近くにいる相手に応じて変わります。

行動範囲や移動ルートはどう決まりますか?

食物の分布、周囲の群れとの関係、環境の変化が行動域に関わります。その中で、繰り返し食物を得られる木などが移動先になります。季節によって食物が変わるため、同じ生活範囲の中でもよく利用する場所は変わります。

同じ場所で猿を何度も見かけるのはなぜですか?

その場所が繰り返し食物を得られる餌場になっていることや、近くに休息・移動に使う森林があることが考えられます。農地では、安全に食べられた経験による再訪も関わります。目撃場所が採食場所なのか、移動途中なのかで、その場所を使う理由が変わります。

猿は夜に活動しますか?

基本は日中に活動する動物で、明け方や夕暮れにも動くことがあります。屋久島の森林のカメラ調査では、日の入りから1時間後〜日の出の1時間前という時間帯にも、ごくまれに地上活動が記録されています。薄暗い時間帯の撮影記録と、日が沈んで長くたってからの活動記録の両方がある、というのがこの調査で確認できる範囲です。

まとめ:群れの関係と、食べる・休む・移動する場所をつなげて捉える

猿の群れでは、血縁や順位が近くにいる相手や反応の仕方に関わり、採食と休息の場面で個体間の距離も変わります。時間の使い方は季節や食べ物に応じて変わり、過去に利用した餌場の記憶が、その後の移動先につながります。

繰り返しの目撃を理解するうえで、私は、食べ物を得られる場所と、休息や移動に使える周囲の森林の組み合わせを重く見ます。農地で短く食べ、近くの林を利用するという研究者の考察は、一度姿が消えてから再び現れる行動を説明する具体的な手掛かりになるためです。

参考資料

群れの構成や行動域の基礎資料に加え、採食、集団移動、警戒、活動時間、学習について本文の根拠に使用した資料を掲載しています。本文中でリンクした研究も、この一覧に含めています。

山村 直也
この記事の著者
山村 直也
所属
株式会社守護テック / Slingshotrifle.jp
専門領域
スリングショット用品の開発・販売、害獣対策用品の評価、狩猟および有害鳥獣対策の実務、熊撃退スプレーを含む野外安全装備の評価

Slingshotrifle.jpを運営し、スリングショット用品の開発・販売、製品評価、使用方法の情報発信を行っています。狩猟免許を保有し、猟友会にも所属。狩猟や有害鳥獣対策の実務に関わる立場から、スリングショットの選び方、ゴムの特性、安全な使用方法、野外での備え方を解説しています。また、害獣対策用品や熊撃退スプレーの開発・評価にも携わり、農作物被害対策や有害鳥獣対策に関する情報発信も行っています。北海道での自然行動経験やヒグマ遭遇経験を踏まえ、実用性を重視した情報提供を心がけています。

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