一度追い払っても、その後に作物を食べられるなら、サルが戻る理由は残ります。被害が続く畑では、同じ忌避用品を増やすより、食べられている場所と時間に合わせて対策を直すとよいでしょう。
- 出没時に対応できる畑では、アラームを早期発見に使い、スリングライフルなどで強烈な一撃を加え恐怖を植え付ける。
- 留守中に食べられるなら、音の変更よりも、サル対応の柵の整備・補修を優先するとよいでしょう。
- 柵があるのに入られるなら、地際や出入口の隙間、近くの木から乗り移れる場所を点検するとよいでしょう。
- 収穫が終わったら、取り残した野菜や廃棄作物を片付け、サルが食べられるものを残さないようにするとよいでしょう。
- 補修後に被害が止まったなら、近くにサルが現れても、用品を追加するより、その柵の管理を続けるとよいでしょう。
この記事でわかること
- 収穫期になると、それまでのサル対策が効きにくくなる理由
- サルが危険を冒してでも同じ畑へ戻ってくる理由
- 音や柵で被害が止まらないときに、優先して直す場所
- 毎日通えない畑や、全体を囲えない広い畑の守り方
- 収穫後の食べ物の管理と、近隣で協力して行う追い払い
音を鳴らすと一度は逃げるのに、しばらくすると戻ってくる。蛇のおもちゃを置いたのに、その近くの野菜を食べられた。人が追い払っても、翌日にはまた畑にいる。音、光、匂い、ヘビダミーなどは、サルを警戒させるための方法です。ところが、それを使っていても普通に畑へ入り、作物を食べる状態になっているなら、同じ種類の用品だけを増やす対策には限界があります。
こうなってしまったサルを追い払うのは簡単ではありません。猿が戻って来るのは理由があるからです。餌が食べられる場所という魅力度に対してサルが認識している危険が上回っていない限り猿が戻ってくるのを辞めることはありません。
特に、人が畑にいても近くへ来る、人を見てもすぐに逃げない、人との距離を取りながら畑をうかがっている。このようなサルが出ている畑では、完全に人間をなめてしまっているので強い恐怖を与える以外に猿を追い払う方法はありません。
この記事では、すでにサル対策を試している方に向けて、「なぜ効かないのか」「どこまで今の方法を直すのか」「どうすればよいのか」を説明します。
対策しているのに、なぜサルはまた来る?
センサーアラームを設置したらサルが逃げた。大きな音を鳴らしたら山へ帰っていった。それでも数日後には同じ畑が荒らされていた。サル対策では、こうしたことが起こります。例えば、トウモロコシ畑に侵入したサルがセンサーアラームの音に驚き、慌てて林の中へ逃げ込んだとします。これで被害を防げたと思っていたら、わずか30分後、今度は畑の反対側から侵入してトウモロコシを食べていた、ということも十分に考えられます。
サルを一度追い払うことと、その畑に近づかなくさせることは別の話です。サルにとって農作物は魅力的な食べ物です。特に収穫期を迎えたトウモロコシや果物などは、わざわざ危険を冒してでも手に入れたい餌になることがあります。
ここで問題になるのが、畑にある餌の魅力と、そこへ侵入する危険性のどちらが大きいかということです。いくら大きな音や強い光で驚かせても、サルが感じる危険よりも餌を手に入れる魅力が勝ってしまえば、再び畑へやって来る可能性があります。
しかも、同じ対策を続けている間に、サルが畑へ侵入する条件は少しずつ変わっていきます。その大きな理由が、次の2つです。
餌場の魅力度が大きくなっていく
農作物は日々成長し、収穫期が近づくにつれてサルにとっての餌としての魅力も増していきます。例えばトウモロコシなら、まだ実が十分に育っていない時期と、粒が太って食べ頃になった時期では、サルがその畑から得られる食べ物の価値が違います。
植え付け直後には見向きもしなかった畑でも、実がつき始めると様子が変わり、収穫直前になって集中的に狙われることがあります。そして厄介なのは、サルが一度でもその畑でおいしい餌を手に入れてしまった場合です。畑に入れば食べ物があると覚えられれば、再びやって来る理由になります。特に何度も餌を手に入れられるような畑は、サルにとって利用する価値のある餌場になってしまいます。
収穫直前の畑でセンサーアラームが鳴ったとしても、サルがすぐに餌を諦めるとは限りません。一度林へ逃げ込んでも、しばらく様子をうかがい、別の場所から侵入を試みる可能性があります。つまり、収穫期が近づくほど農作物の魅力は増し、それまで効果があった対策でもサルを追い払いきれなくなることがあるのです。
春先にはほとんど被害がなく、対策も十分に効いていたのに、収穫直前になって急にサルがしつこくなったという場合には、こうした餌場の魅力の変化も考える必要があります。
危険の認識が下がっていく
もう一つの問題が、サルが対策に慣れてしまうことです。サルは警戒心の強い動物ですが、同時に学習する能力も持っています。初めて経験する大きな音や突然の光には驚いて逃げても、それを何度も経験するうちに反応が弱くなることがあります。
例えば、畑に設置したセンサーアラームがサルの侵入を検知し、大きな警報音を鳴らしたとします。最初は驚いて逃げ出したとしても、その後も同じ場所で同じ音を聞き、そのたびに何も起こらなければどうでしょうか。音が鳴っても追いかけられるわけではなく、危害を受けることもない。何度か経験しているうちに、その音に対する警戒心が薄れていきます。
そうなると、最初は音が鳴った瞬間に逃げていたサルが、少し離れた場所で様子を見るだけになり、やがて音が鳴ってもそのまま農作物を食べ続ける、といった変化が起こり得ます。こうした現象は「馴化(じゅんか)」と呼ばれ、同じ刺激が繰り返されることで、その刺激に対する反応が弱くなることを指します。
音だけではありません。点滅するライト、動く人形、設置しただけの鳥獣よけ用品なども、サルが繰り返し経験し、危険がないと学習すれば、反応が弱くなる場合があります。特に注意したいのは、対策が作動している最中でもサルが餌を食べられる状況です。
警報音を聞きながらトウモロコシを食べられたのであれば、サルにとっては音が鳴っても食べ物を手に入れられた経験になります。これを繰り返せば、警報音による追い払い効果が低下するだけでなく、その畑へ通い続けることにもつながります。
収穫期には、この2つの問題が重なってくる

ここまで説明した2つの変化は、別々に起きるとは限りません。畑の農作物が成長して餌としての魅力が増していく一方で、サルは繰り返し経験した対策に慣れ、以前ほど危険を感じなくなっていくことがあります。つまり、サルにとっては食べ物を手に入れたい理由が強くなり、同時に畑へ入ることへの警戒心が弱くなっていくわけです。
これでは、設置当初によく効いていた対策が、肝心の収穫期には役に立たなくなってしまうこともあります。そのため、音や光による追い払いだけに頼るのではなく、侵入経路を塞ぐ、侵入を確認したら人が追い払う、餌を取らせないといった対策を組み合わせることが重要です。
サル対策で本当に防ぎたいのは、サルが畑に姿を見せることだけではありません。サルに農作物を食べさせず、その畑を餌場として利用させないことが重要なのです。
サルは危険を冒してまで、なぜ畑に入るのか?
人が現れれば逃げる。それでも、人がいなくなれば戻ってくる。こうしたサルに対して、さらに大きな音を鳴らせば解決するのでしょうか。問題は、その畑がサルにとってどれだけ利用する価値のある場所になっているかです。多少警戒しなければならなくても、短時間で十分な餌を手に入れられるなら、侵入を繰り返す理由となります。
畑への侵入は、サルにとって割に合っている?
室山泰之氏が採食生態学の観点から示したモデルでは、農作物の食物としての価値、農地への接近のしやすさ、農作物への依存度を使って、被害の起こりやすさを考えています。農地での採食を、得られる利益と負担の関係から捉えるものです。
例えば、林のすぐ脇にトウモロコシがまとまって実っている畑を考えてみます。林から少し出るだけで食べ物に届き、一つ取ったらすぐ次も取れる。危険を感じれば、近くの林へ引き返せます。この畑で警報音だけが鳴るようになっても、サルが食べられる量や逃げやすさが変わらなければ、採食の条件は大きく変わっていないかもしれません。
逆に、近づいても柵の外で足止めされ、食べ物に届かず、人による追い払いも受けるなら、同じトウモロコシでも手に入れるまでの負担は増します。サル対策では、怖さを加えるだけでなく、侵入によって得られるものを減らす。この両方を考える必要があります。
人を怖がらなくなったサルはどうすればいい?
一般的にサル対策は昔からロケット花火やエアガンで対応されてきましたが、これらは人間が何か飛ばしてくる、嫌だな程度の影響を与える事しか出来ません。何度も使用していると危険も害もないこと猿は学習してしまい人間を恐れなくなります。もちろん電気柵で農地を囲えれば問題は解決しますがすべての農地で電気柵を使用できるというわけでも無いのが実情だと思います。
こうなったら銃で駆除する、罠で捕獲して唐辛子スプレーを吹きかけてここに来たら痛い思いをするということを教え込む、スリングライフルのような物で強烈な一撃を加えて人間の恐ろしさを教える以外方法がないのが現実です。スリングライフルではクレイボールを使用できるので、最終手段として猿に怪我をさせずに痛みを与えるという方法を選ぶという事もできます。
同じ作物でも、畑によって狙われ方が違う?

清野紘典氏による仙台市の群れを対象とした調査では、林縁に近く人家から遠い農地ほどサルが出現しやすく、林縁から遠く人家に近い農地では出現しにくい傾向が報告されています。この結果を畑の点検に当てはめるなら、林から作物までの距離、身を隠せる場所、侵入を見つけやすいかどうかも調べたいところです。
例えば、農道側からは見通しがよくても、反対側の藪が作物のすぐ近くまで迫っていれば、そこからの侵入を見落とすことがあります。人が畑へ入る入口と、サルが利用する入口を同じだと思わないことです。同じ種類のサル撃退用品を使っている隣の畑では被害が少なくても、自分の畑で同じ結果になるとは言い切れません。製品の違いを疑う前に、サルがどこを通り、どれだけ簡単に作物へ届いているかを比べる必要があります。
一度餌を食べられた畑に、サルは何度も来る?
何度追い払っても戻ってくるなら、サルがその畑へ通う理由が残っています。吉野川市のサル対策資料でも、容易に作物を取り続けられる状況は、サルに安全な餌場だと学習させることになると説明しています。つまり、もうすでに容易に餌が取れる場所だと学習してしまっているため、多少の追い払いではその餌場をあきらめるという行動をとらなくなってしまっているのです。
人間に当てはめても同じような行動をとる例があります。例えば、少し遠い場所に過去に大量に魚が釣れた経験が有る場所があったとして、他にも近場でも釣れるかもしれない場所が有るのが分かっていても、過去に釣れた場所を優先的に選択して釣りに行くでしょう。これは不確実性回避と呼ばれる行動で、生き残る確率を最大限上げるための行動で、そういった確実な選択を繰り返す個体のほうが、生き残って子孫を残せる確率が高いためこのような行動をすると考えられています。
人がいない時間は、どう守る?
留守中の被害が多い畑では、追い払い用品を増やすより、柵の整備や補修を優先するとよいでしょう。アラームが鳴ってもサルが逃げず誰も駆けつけられないなら、その時間の侵入は柵で防ぐ必要があります。例えば、午前中に追い払っても、午後にはトウモロコシを食べられている畑です。この場合、午前中の追い払いを強くするだけでは、午後の被害を止められません。どこから入られたかを調べ、留守中も作物に届かないようにする方がよいでしょう。
侵入口が分からないときは、食べられた場所に向けて自動撮影カメラを置く方法もあります。毎回同じ側から入っているなら、まずはその場所を補修するとよいでしょう。
群れの一部だけが畑に残っていたら?
数頭が逃げた後も、別の畝で食べているサルが残ることがあります。追い払った後は、畑の反対側や作物の陰も、離れた場所から見渡すとよいでしょう。清野紘典氏の調査では、農地に出現するサルの性別や年齢によって、周囲を見回す行動などに違いが報告されています。群れの全員が同じように反応するわけではないのです。
一部のサルだけが繰り返し同じ場所で食べているなら、その場所へどう入っているかを調べるとよいでしょう。群れ全体を追い回すより、食べられている場所の侵入防止を直す方が、畑を守るための作業として具体的です。
何度来ても餌を取れなければ、サルは畑に来なくなる?

サルが繰り返し来る畑でも、まずは作物を取らせない状態をつくるとよいでしょう。電気柵を補修した後、食害が止まっただけでなく、柵に対するサルの行動まで変わった調査があります。山端直人氏・鈴木克哉氏が三重県鈴鹿市の菜園で行った調査では、通電式支柱を用いた電気柵を設置し、サルの行動を16か月間撮影しました。
設置当初は隙間から3回侵入されましたが、補修後には侵入や食害が確認されなくなりました。その後は柵に近づくサルの撮影頭数が減り、柵を登らずに通り過ぎる行動の割合が増えています。一方、集落への群れの接近回数には大きな変化がありませんでした。
この事例では、サルが集落へ来続けていても、菜園の作物は守れるようになっています。
柵を補修して食害が止まったなら、近くにサルが現れるたびに用品を追加するより、その柵の管理を続けるとよいでしょう。設置後に入られた場合も、すぐに柵全体を諦めず、通られた隙間を直すことから始めるのがよいでしょう。なお、この調査には電気刺激の影響もあるため、餌を取れなかった経験だけで行動が変わったとは言えません。また、少数ながら柵を登ろうとする個体は残っていました。被害が落ち着いた後も、出入口や破損箇所の点検は続けるとよいでしょう。
サルが慣れた音を変えれば、また追い払える?
すでに音が鳴っている中で食べられているなら、音の変更だけで様子を見続けるより、侵入防止を追加するとよいでしょう。新しい音に驚いたとしても、その後また食べられる状態では、同じことの繰り返しです。
超音波や聞き慣れない音には、どれくらい反応する?
田中俊明氏・室山泰之氏による飼育下のニホンザルの研究では、超音波によって食べ始めるまでの時間が長くなる反応が見られました。しかし、延べ侵入個体数や、食べ始めてから餌を食べ終えるまでの時間には、無音などの条件との有意差が認められませんでした。つまり、超音波はサル撃退にほとんど効果がないと言えます。
シチメンチョウの音声(サルが聞きなれない甲高い鳴き音)では、初日に逃げ出してから戻るまで時間がかかったものの、その反応は短期間で弱まっています。これは飼育下の実験ですが、聞き慣れない音でも、反応が長続きしない場合があることを示しています。音を変更するなら、その後の被害まで確かめ、食べられ続けている場合は柵や追い払いとの組み合わせを見直すとよいでしょう。
センサーアラームは、どう使うとよい?
畑の近くで作業する人がいるなら、アラームをサルの出没に気づくきっかけとして使うとよいでしょう。作動音に気づいて早めに対応できれば、作物を食べ始める前の追い払いにつなげられます。当店のソーラー赤外線センサーアラームは、赤外線センサーで感知し、警報音と赤色ライトで警戒を促す補助用品です。24時間の感知モードと夜間モードがあり、日照不足時にはUSB充電にも対応しています。
昼間の畑で使うなら、昼間も作動するモードを選ぶとよいでしょう。人が作動音に気づく用途では、普段の作業場所から聞こえる位置かどうかも確かめておくとよいでしょう。音の種類や機器の違いについては、サル対策の音・超音波・センサーアラームの違いと選び方で詳しく紹介しています。
収穫が終わった後も、サル対策は必要?

収穫が終わったら、取り残した作物や廃棄した野菜を片付けるとよいでしょう。自分が収穫するものはなくなっても、サルが食べられるものまでなくなったとは限りません。
次に狙われる作物が育つ前に、何をしておく?
望月翔太氏らが新潟県新発田市の一群を調べた研究では、農地への選好性は8~11月に高まり、被害に関係する資源も季節によって変わっていました。秋にはカキなどの分布が関係しています。例えば、夏はトウモロコシ、秋はカキ、その後は冬野菜という順番で被害が出ている地域なら、今の作物を収穫した後も、次に食べられるものへの備えを進めるとよいでしょう。
前年に被害が出た時期が分かっているなら、その少し前に柵や周辺の木を点検しておくとよいでしょう。実が食べ頃になってから補修を始めるより、作業に余裕を持てます。山の餌の状態を変えるのは難しいため、まずは自分の畑と周辺で、サルが簡単に取れる食べ物を減らしていくとよいでしょう。
廃棄する野菜や、放置した果実はどうする?
吉田洋氏らによる富士北麓地域の調査では、冬にサルが収穫残渣や廃棄された作物を食べていることも確認されています。出荷できない野菜や傷んだ果実でも、サルには食べ物になります。畑の端に積んだものを食べられているなら、その置き方を変えるとよいでしょう。収穫する作物を柵で守りながら、すぐ外で餌を与えるような状態はなくしたいところです。
廃棄作物や生ごみは、サルが取り出せないように管理するとよいでしょう。放任果樹がある場合も、所有者と相談し、果実を残さないよう収穫や管理を進めるのがよいでしょう。
対策しているのに被害が続くときは、どこを直せばいい?
対策用品を買い替える前に、食べられた場所と侵入経路を確かめるとよいでしょう。故障や隙間が原因なら、用品を増やさなくても改善できる余地があります。
アラームが鳴らずに食べられているなら?
まずは電源、充電状態、作動モードを点検するとよいでしょう。夜間だけ作動する設定になっていれば、昼間に来るサルには反応しません。機器が正常に動くなら、次は向きと設置場所です。畑の入口では反応していても、サルが反対側から入っていれば、その経路を捉えられていません。実際に通られている場所へ向けて、設置を直すとよいでしょう。
人が機器の前に立ったときだけでなく、被害の出ている側を通ったときにも作動するか、設置後に試しておくとよいでしょう。音の種類を変えるのは、必要な場所で作動するようになってからで十分です。
柵の内側へ入られているなら?

地際の隙間、出入口、つなぎ目、破損箇所から順に調べるとよいでしょう。柵の高さを足す前に、下や横から通られていないかを確かめることです。近くの木や小屋などから乗り移れる場所も点検するとよいでしょう。富士見町の実証試験を基にした電気柵の資料でも、立木が近接していると、柵を適切に設けても飛び越えられる問題が示されています。
電気柵では、電源ランプだけでなく、専用の測定器で通電状態を確認するとよいでしょう。草木の接触や破損も、製品の設置・管理方法に沿って点検する必要があります。
収穫直前に被害が増えたら?
収穫間近の作物が食べられ始めたら、まずその区画の侵入防止を優先するとよいでしょう。アラームの反応を見るために待っている間にも、収穫できる作物は減ってしまいます。食べられた側の柵を点検し、収穫できるものは取り残さず収穫するとよいでしょう。近隣でも急に被害が増えているなら、サルの目撃場所や移動方向を共有しておくと、対応を相談しやすくなります。
同じ時期に被害が繰り返される畑では、翌年はその時期より前に補修や見回りを始めるとよいでしょう。
広い畑や、毎日通えない畑はどう守る?

対策は、実際に管理を続けられる範囲で組むとよいでしょう。毎日見回れない畑で、人が駆けつけることを前提にしても、留守中の被害が残ってしまいます。
畑全体を囲うのが難しい場合は?
まずは、収穫したい作物を含む区画を優先して守るとよいでしょう。広く囲っても、草刈りや補修が追いつかず隙間が残るなら、その場所から入られてしまいます。柵の外から作物に手が届く場合は、作物と柵の位置関係も見直すとよいでしょう。次の作付けでは、柵際に寄せすぎない配置にする方法もあります。
週末しか通えない場合は、見回りの際に出入口、地際、通電状態、周囲の枝や草をまとめて点検するとよいでしょう。近隣へ協力を頼めるなら、柵の破損や侵入を見つけたときに連絡してもらうだけでも、放置する時間を減らせます。
管理頻度に合わせた組み合わせは、畑・家庭菜園のサル対策で紹介しています。
追い払ったサルが、隣の畑で食べている場合は?
自分の畑から追い出しても、隣で食べられるなら、地域の中に餌場が残っています。この場合は、近隣と出没情報や追い払いの対応を揃えるとよいでしょう。山端直人氏が三重県内6地区で検証した研究では、集落ぐるみの追い払いが進んだ地区で、農作物被害の低下が報告されています。
最初は、サルを見つけたときの連絡先と、対応できる人を決めることから始めるとよいでしょう。追い払った後にどちらへ移動したかも共有しておくと、次の畑での対応に役立ちます。追い払いは、一人で群れに近づいたり、逃げ道を塞いで追い詰めたりせず、地域の担当者と方法を揃えて行うのがよいでしょう。住宅や道路の近くでは、使用する用具や追い払う方向にも配慮が必要です。
対策を変えた後は、何を見ればいい?
柵を補修したり、アラームを移設したりした後は、新しい被害がどこで出たかを見るとよいでしょう。補修した場所では止まったのか、別の場所から入られたのか。それによって、次に手を入れる場所を決められます。
記録は、日付・場所・被害量から始める
細かな記録表を作るより、まずは「10月14日、東側のトウモロコシ5本に食害」のように、日付、場所、被害量をメモするとよいでしょう。柵を直した日や、アラームの設定を変えた日も一緒に残しておくと、変更後の様子を追いやすくなります。
少しかじられただけでも出荷できなくなった作物は、被害に含めるとよいでしょう。サルを見ていなくても、見回りで見つけた被害は記録に残せます。前年と比べる場合は、できるだけ同じ作物の、近い生育段階で比べるとよいでしょう。作付けを減らした年は被害本数も減りやすいため、植えた量も書き添えておくと比較の参考になります。
被害は減ったけれど、見張りの負担が大きい場合は?
毎日見張ってようやく守れているなら、見張りを続けるだけでなく、柵や守る区画を見直すとよいでしょう。畑を守るために、ほかの農作業ができなくなっては長続きしません。柵の補修後に被害も追い払いの出動も減ったなら、その管理を続けるのがよいでしょう。反対に、アラームの設定変更を繰り返しても被害が変わらないなら、次は侵入口の補修へ時間や費用を回す方がよいでしょう。
まとめ|サルが戻って食べられる場所をなくしていく
アラームで逃げても、留守中に戻って食べられるなら、柵の整備を優先するとよいでしょう。柵があるのに入られるなら、地際や出入口、周囲の木から順に点検することです。収穫後も残った作物を食べられているなら、片付けと管理を進めるとよいでしょう。
サルを驚かせる対策は、食べられている場所を塞ぐ対策と組み合わせるのがよいでしょう。危険を避けながらでも十分に餌を得られる畑では、サルが戻る理由が残ってしまいます。今どこで食べられているのかを確かめ、そこから直していく。一度に用品を増やすより、被害が出ている場所へ対策を絞り、改善したかを確かめながら進めるとよいでしょう。
出典・参考資料
本文中の畑の場面や記録例は、説明のための例です。掲載した研究は、当店商品の効果を検証した試験ではありません。
- 室山泰之(2005)
「ニホンザルの被害管理―採食生態学の観点から」。
『哺乳類科学』45巻1号、99–103頁。 - 清野紘典(2004)
「ニホンザルの群れによる農作物への加害状況から被害発生要因を探る」。
第20回日本霊長類学会大会、発表要旨。 - 田中俊明・室山泰之(2015)
「超音波音およびシチメンチョウ音声に対するニホンザルの忌避反応」。
『霊長類研究』31巻1号、31–37頁。 - 山端直人・鈴木克哉(2013)
「通電式支柱『おじろ用心棒』を用いた電気柵に対するニホンザルの行動変化」。
『兵庫ワイルドライフモノグラフ』5号、87–93頁。 - 望月翔太・村上拓彦・芝原知(2013)
「ニホンザル(Macaca fuscata)における農地選択の季節変化」。
『景観生態学』18巻2号、159–171頁。 - 吉田洋・林進・北原正彦・藤園藍(2006)
「富士北麓地域におけるニホンザル野生群による農作物被害と被害防除の実態」。
『農村計画学会誌』25巻2号、111–119頁。 - 山端直人(2010)
「集落ぐるみのサル追い払いによる農作物被害軽減効果―三重県内6地区での検証―」。
『農村計画学会誌』28巻論文特集号、273–278頁。 - 吉野川市
「ニホンザルの『追い払い』と『誘引物対策』について」。 - 富士見町有害鳥獣対策協議会
「ニホンザルの侵入を防ぐ長野県式電気柵の正しい使い方―モデル圃場における実証試験から―」。 - 農林水産省
「鳥獣による農作物等の被害の防止に係る電気さく施設における安全確保について」。 - 環境省
「捕獲許可制度の概要」。 - Slingshotrifle.jp
「ソーラー赤外線センサーアラーム」商品情報。





