憎きサルの追い払い方法|花火・犬・パチンコ・エアガンを使い分ける

まとめ

サルの追い払いには、スリングショット・スリングライフル、ロケット花火・爆竹、犬、エアガンなどが使われます。どの方法でも、追い払ったあとに戻ってくるか、作物の被害が減っているかを確かめましょう。畑や周辺で食べ物を得られる状態が続くなら、侵入防止と餌場の片付けも必要です。

  • 追い払い道具を選ぶなら、携帯しやすい手持ち式のスリングショットと、スコープを備えたスリングライフル「畑守」の大きさ・価格・操作方法を比較します。
  • 花火や設置型グッズを使っても戻ってくるなら、同じ道具を使い続けるだけで終わらせず、ほかの追い払い方法や防護柵を検討します。
  • モンキードッグを導入するなら、飼い主と犬が訓練を受け、日々の世話と継続的な訓練を行えることが前提です。
  • エアガンを選ぶなら、動力方式、操作方法、消耗品、手入れの負担を製品ごとに比較します。
  • 人がいない時間に作物を食べられるなら、サルの侵入に対応した構造の防護柵を検討します。
  • 同じ群れが繰り返し現れる地域では、取り残した作物や放置された果物を片付け、近隣で出没した日時・場所・移動方向を知らせ合います。
この記事でわかること
  • スリングショットとスリングライフルの違いと選び方
  • ロケット花火・爆竹、犬、エアガンによる追い払いの特徴
  • サルが追い払っても戻ってくる理由と、追い払いに失敗する4つの原因
  • 超音波・爆音機・ヘビの模型・忌避剤だけでは被害が続く理由
  • 防護柵の導入、餌場の片付け、近隣で協力して行うサル対策

丹精込めて育てた野菜を食い荒らし、まだ青い実まで引きちぎって捨てていく。食べるだけならまだしも、一口かじって放り出されては、たまったものではありません。

種をまき、水をやり、草を取り、ようやく収穫できると思った矢先にサルの群れがやって来る。何か月もかけて育てた作物が、ほんの短い時間で台無しになってしまいます。腹が立って追い払っても、翌日にはまたやって来る。こちらを見ても逃げる素振りすら見せず、平然と野菜を食べているサルまでいます。本当に憎たらしいものです。そんなサルを畑から追い払うには、どんな方法がよいのでしょうか。昔から使われているロケット花火やパチンコのほか、スリングライフル、エアガン、犬を使った追い払いなど、方法はいくつもあります。ただ、道具を買って一度追い払えば、それで被害が終わるとは限りません。サルは学習能力が高く、何度追い払われても食べ物が手に入る畑には戻ってくることがあります。この記事では、サルを追い払う具体的な方法と、それぞれの道具の特徴、しつこく戻ってくるサルへの対策を紹介します。

スリングショット・スリングライフルでサルを追い払う

スリングショット比較風景

サルを追い払う道具として、まず紹介したいのがスリングショットとスリングライフルです。スリングショットは、昔からパチンコやゴムパチンコと呼ばれてきた道具です。ゴムの反発力で球を飛ばす仕組みで、害鳥や害獣の追い払いにも利用されています。

一方、スリングライフルは、同じくゴムの力を利用しながら、ライフルのような本体構造と照準装置を備えた道具です。ロケット花火や爆音機は大きな音でサルを驚かせますが、スリングショットやスリングライフルは発射器を人が操作して追い払いに利用します。

滋賀県米原市では、2026年4月から自治会や農業関係団体を対象に、サル追い払い用スリングショットの無料貸し出しも行われています。パチンコというと昔の子供のおもちゃを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、現在では狩猟用や害獣対策用として設計された製品も販売されています。

当店の2つのセットを比較

昔ながらのパチンコは持ち運びやすいのが魅力

スリングショットの大きな利点は、本体が小さく、畑の見回りに持って行きやすいことです。畑仕事をしているときにサルを見かけても、追い払い道具が家に置いてあっては役に立ちません。その点、手のひらほどの大きさのスリングショットなら、専用のポーチなどに入れて携帯できます。

また、構造が単純なので、本体価格もスリングライフルほど高くありません。ゴムなどの消耗品を交換しながら使えることも特徴です。ただし、スリングショットには大きな弱点があります。

見た目は簡単そうでも、正確に扱えるようになるまで相当な練習が必要なのです。

手持ち式のスリングショットは、ゴムの引き方や本体の保持など、人の動作が精度に大きく影響します。当店でも、スリングショットを初めて使う人には、十分な練習時間を確保することをおすすめしています。安いからという理由だけで購入し、ほとんど練習せずに使いこなそうとしても、思うようには扱えないでしょう。

手持ち式なら「TX-32」という選択肢

当店で取り扱っているTX-32は、合金製のスリングショットです。本体重量は約300gで、取り外し可能な照準器と水平器を備えています。一般的な樹脂製の製品より重さがあるため、しっかりと保持しやすく、携帯性と本体の剛性を重視した製品です。

本体のみでも購入できますが、初めて使う場合はゴムや球などをまとめて揃えられる完全セットが便利でしょう。完全セットには、TX-32本体、ゴム、球、ハンドガード、携帯ポーチなどが含まれています。

すでに対応するゴムや球を持っている場合には、本体単品という選択肢もあります。

TX-32 本体だけの価格と仕様を見る →

スリングライフルはスコープを備えたライフル式の道具

スリングショットを使ってみたいものの、手持ち式を正確に扱えるようになるまで練習するのは大変だと感じる人もいるでしょう。そうした人には、スリングライフルという選択肢があります。スリングライフルは、ゴムの力を利用する点ではスリングショットと共通していますが、ライフル型の本体と引き金を備えています。

また、スコープを取り付けられるため、手持ち式とは照準の取り方も異なります。当店で製造・販売している「畑守」は、害鳥・害獣対策や的撃ちなどの用途を想定したスリングライフルです。ゴムを動力として使用するため、火薬や圧縮ガスを使うエアガンなどとは構造が異なります。

畑守の特徴は、ライフル式の保持方法とスコープによって、手持ち式のスリングショットよりも格段に精度と威力が高い点です。当店で的撃ち試験を行い、集弾性能などを確認しながら開発を行った商品です。

サル対策にスリングライフルを使う利点

スリングライフルの利点として、次のような特徴があります。

  • スコープを使用できる
  • ライフル式の本体で保持しやすい
  • ゴムを交換して継続使用できる
  • 花火のような爆発音を発生させない
  • 威力が非常に高い

一方、本体が大きく、持ち運びの手軽さでは小型のスリングショットに劣ります。価格も手持ち式より高いため、畑の見回りで手軽に携帯したい人と、ライフル式の構造を重視する人では、選ぶ製品が変わってきます。ただ一点言えることは、スリングライフル使用でほぼ確実にサルを撃退、ここは危険と教え込んで戻ってこなくする事が可能です。(当社で行ったアンケート結果は98%の購入者の方が効果有りと回答しております。)

初めて導入するなら畑守の完全セット

当店の「畑守 完全セット」には、スリングライフル本体のほか、スコープ、交換用ゴム、専用バッグ、球などが含まれています。本体だけ購入して、あとから必要な用品を一つずつ揃える手間を省けるセットです。ゴムは消耗品なので、継続して使用する場合には交換用ゴムの費用も考えておくとよいでしょう。

サル対策における畑守の特徴は、こちらの専用ページでも詳しく紹介しています。

スリングライフル「畑守」によるサル対策

スリングショットとスリングライフル、どちらを選ぶ?

二つの製品で迷っているなら、まず持ち運びやすさと練習にかけられる時間で選ぶとよいでしょう。畑仕事のついでに携帯したいなら、手持ち式のスリングショットが便利です。一方、手持ち式の操作に習熟するための練習時間を確保しにくく、スコープを備えたライフル式を使いたいなら、スリングライフルが候補になります。

ただし、スリングライフルでも本体の扱いに慣れることは必要です。購入しただけで誰でも同じ精度を出せるわけではありません。大切なのは、実際に畑で継続して使える道具を選ぶことです。性能が優れていても、重くて持ち出すのが面倒になれば出番は減ります。反対に、小さくて便利でも、扱いに慣れず使わなくなっては購入した意味がありません。

両者の構造や特徴をさらに詳しく知りたい場合は、スリングショットとスリングライフルの比較記事も参考になるでしょう。

ロケット花火・爆竹でサルを追い払う

ロケット花火と爆竹

サルの追い払いに昔から利用されているのが、ロケット花火や爆竹です。サルの被害が多い地域では、自治体が追い払い用の花火を配布していることもあります。例えば滋賀県米原市では、集落ぐるみの追い払いに対してロケット花火や爆竹の支給を行っています。

ロケット花火などが使われる理由は、大きな音でサルを驚かせ、その場から遠ざけることを狙えるからです。比較的安価に入手できるうえ、専用の高価な機械を購入せずに始められます。ただし、花火を鳴らせば必ずサルが逃げるほど、話は簡単ではありません。

最初は逃げていたのに、だんだん逃げなくなる

花火を使った追い払いで問題になるのが、サルの慣れです。初めて大きな音を聞いたサルは、驚いて逃げることがあります。ところが、何度も同じ音を聞いているうちに、その音が自分にとってどの程度の脅威なのかを学習していきます。

大きな音がしても、少し移動すればまた野菜を食べられる。そんな経験を繰り返したサルには、花火の音だけでは十分な効果が得られなくなることがあります。福井市も、爆竹やロケット花火をただ鳴らすだけでは、サルが「音のする集落」と学習してしまうことを指摘しています。

人間にとってはうるさい花火でも、サルが大して怖がらなくなってしまえば意味がありません。昨日まで逃げていたから今日も逃げる、とは考えない方がよいでしょう。

花火を鳴らすことが目的になっていないか

サルが来るたびに花火を使っていても、被害が減っていなければ対策を見直した方がよいでしょう。例えば、花火の音でサルが畑から離れたとしても、近くの林に隠れ、しばらくして戻ってくる場合があります。見た目には追い払えたようでも、同じ日に再び作物を食べられているなら、意味がありません。

ロケット花火と爆竹はどう違う?

ロケット花火と爆竹は、どちらも音を利用した追い払い道具ですが、使い勝手が異なります。ロケット花火は、飛翔して破裂音を出す種類が知られています。一方、爆竹は連続した破裂音を発生させる製品が一般的です。どちらが優れているかは、音の大きさだけでは決まりません。

サルの出没する場所や周辺環境、追い払いを行う人の人数などによって、扱いやすさが変わります。また、どちらも消耗品です。サルが頻繁に来る畑では、何度も使ううちに費用と手間がかさんでいきます。

花火で逃げなくなったサルにはどうする?

花火でサルが逃げなくなってきたら、同じ花火をただ使い続けるのではなく、別の追い払い方法も検討するとよいでしょう。例えば、犬を使った地域の取り組みや、人が操作する追い払い道具などがあります。また、花火で追い払っても収穫前の野菜を食べられてしまうなら、侵入防止柵の導入も検討したいところです。

花火は使いやすい道具ですが、それだけですべての畑を守れるとは限りません。

犬を使ってサルを追い払う方法

モンキードッグ

犬もサルの追い払いに利用されています。特に、サルを追い払うための訓練を受けた犬は「モンキードッグ」と呼ばれ、実際に導入している自治体があります。徳島県によると、モンキードッグは長野県で始まった取り組みで、徳島県内でも複数の自治体が導入してきました。

犬を使った追い払いには、人が花火などを使って追い払う方法とは違った特徴があります。ただし、犬が一匹いればサルの被害がなくなると思ってはいけません。

犬を飼っているだけではサル対策にならない

庭に犬がいるから、サルは寄り付かないだろう。そう考えたくなる気持ちはわかりますが、犬がいるというだけで畑全体を守れるとは限りません。犬のいる場所から離れた畑にサルが現れることもありますし、犬自身がサルに反応しない場合もあるでしょう。

そもそもモンキードッグは、普通の飼い犬をそのまま追い払いに使うものではありません。飼い主と一緒に訓練を受け、追い払い活動を続けることを前提としています。徳島県が公開している説明でも、一定期間の訓練を受けたあと、飼い主が日常的な訓練を続けることが必要とされています。

犬を使うなら毎日の世話と訓練も考える

モンキードッグには、導入費用だけでなく、餌代や日々の世話、訓練などの負担があります。畑仕事が忙しいから犬に任せたいと思っても、実際には人が犬の管理を続けなければなりません。数回だけサルが出た家庭菜園のために、新しく犬を飼うことはおすすめしません。

一方、地域で長期的にサルの被害が続いており、犬を管理できる人がいるなら、検討する価値のある方法でしょう。近所にモンキードッグを導入している地域があれば、実際の活動内容や管理負担を聞いてみると参考になります。

犬を使った追い払いは地域ぐるみの取り組みに向いている

モンキードッグの活用を考えるなら、一軒の畑だけでなく、地域の追い払い活動の一部として取り入れる方が現実的です。サルは一つの畑だけで生活しているわけではありません。複数の農地を移動している群れに対応するなら、犬を使う人と近隣の農家が出没情報を共有することで、追い払いの機会を増やせます。

ただし、犬がいる地域なら必ず被害が減ると断定はできません。すでに被害が大きく、地域全体で取り組む意思がある場合に、導入を考えるとよいでしょう。

エアガンでサルを追い払う方法

農業用エアガン

エアガンも、サルを追い払う道具として知られています。エアガンには電動式、ガス式、エアコッキング式などがあり、使う動力や操作方法が異なります。農作物の被害対策としてエアガンを検討する場合、まずは製品ごとの特徴を確認するとよいでしょう。

特に、エアガンと聞いて一般的な玩具を思い浮かべる人もいれば、害獣対策に利用することを想定した製品を探している人もいます。同じ名前で呼ばれていても、すべてが同じ性能ではありません。

エアガンの特徴は、製品の種類が多いこと

エアガンは比較的広く販売されており、製品の選択肢が豊富です。手頃な価格のものから高額なものまであり、外観も拳銃型やライフル型などさまざまです。ただし、外観が大きいから威力が高い、高額だからサルの追い払いにも優れている、といった単純な比較はできません。

購入前には、動力方式、操作性、消耗品、手入れの負担などを確認した方がよいでしょう。

エアガンとスリングライフルは何が違う?

大きな違いは、球を飛ばす仕組みです。スリングライフルはゴムの反発力を利用しますが、一般的なエアソフトガンは圧縮空気やガスなどを利用します。また、使う弾の材質や重量も異なります。そのため、見た目が似ているライフル型の製品でも、操作方法や使用感は同じではありません。

サルの追い払いを目的に購入するなら、的撃ち用としての性能だけで判断せず、継続的に使う際の負担も考慮するとよいでしょう。

エアガンの種類や特徴については、農業用エアガンの解説記事で詳しく紹介しています。

なぜサルは追い払っても戻ってくるのか

憎き猿の追い払っても戻る画像

せっかく追い払ったサルが、翌日には何事もなかったかのように畑に現れる。こんな経験が続けば、腹が立つのも当然です。しかし、サルが何度も戻ってくるのには理由があります。それは、人間にとって大切な畑が、サルにとっては食べ物を手に入れられる場所になっているからです。

サルは畑で食べ物が手に入った経験を覚えている

サルは学習能力の高い動物です。一度おいしい作物が食べられた場所には、再びやって来ることがあります。例えば、果物が実る季節になると、同じ果樹園にサルが現れることがあります。畑に行けばトウモロコシが食べられる、庭に行けば柿が食べられる。

こうした経験が繰り返されれば、サルにとって人里は魅力的な餌場になってしまいます。人間からすれば、勝手に入ってきて作物を盗む泥棒です。しかし、サルはその作物を誰が育てたかなど気にしません。手に入る食べ物があれば、利用しようとします。

人間が収穫を楽しみにしていることなど、お構いなしです。

追い払いよりも食べ物の魅力が勝っている

花火で驚かされたとしても、そのあとでおいしい果物を食べられたらどうなるでしょうか。サルは、大きな音がしたことと、食べ物を手に入れられたことの両方を経験します。毎回逃げていても、そのあと戻って食事ができるのであれば、畑への出没は続いてしまうでしょう。

これは、追い払い道具の効果だけを考えていては解決しにくい問題です。収穫し忘れた作物や、放置された果物が畑に残っていないかも確認した方がよいでしょう。農林水産省も、収穫残渣や放任果樹などを減らし、野生鳥獣を引き寄せる食べ物を取り除くことをすすめています。

追い払いを続けながら、サルが食べられるものを減らしていくのです。

サルは人間の行動にも慣れていく

サルが畑を荒らしていても、人が近くを通るだけで何もしなければ、サルはその環境に慣れていきます。最初は人の姿を見ただけで逃げていたのに、次第に逃げなくなることもあります。さらに、花火を鳴らす人、畑仕事をするだけの人など、人の行動によって反応が変わる可能性もあります。

毎回同じ道具を使うだけでは、反応が弱くなってくることがあるのです。サルが人を見ても逃げなくなってきたら、それまでの追い払い方法を続けていても被害が増えていきます。

近くに別の餌場があると、追い払いだけでは終わらない

自分の畑からサルを追い払っても、近所の果樹園に移動して食べているだけなら、その群れは地域から離れません。山際に放置された柿の木、収穫されずに残った野菜、農地に捨てられた作物なども、サルを引き寄せる原因になります。自分の畑はきれいに管理していても、周辺に食べ物が豊富にあれば、サルが近くに居続ける可能性があります。

そのため、何度も同じ群れが現れる地域では、個人の畑だけを守る対策に加え、周囲の環境を変えることも重要です。

置くだけの猿よけグッズは効果があるのか

サルの追い払い道具を探していると、さまざまな猿よけグッズが見つかります。超音波を出す装置、爆音機、センサーライト、動物の模型、忌避剤など、種類は豊富です。設置するだけでサルが来なくなるなら、これほど楽なことはありません。しかし、サルが頻繁に出没する畑で、こうした道具だけに頼ることはおすすめしません。

超音波や音を出す装置に頼りすぎない

超音波式の猿よけは、人には聞こえにくい高い周波数の音などを利用する製品です。人が毎回操作しなくても作動する製品があり、設置型の対策を探している人には魅力的に見えるでしょう。ただし、サルに対する効果は、ほぼありません。詳しくはサル対策の音・超音波・センサーアラームの記事を参照してください。

爆音機を設置しても、慣れれば効果が落ちる

農地で使われる爆音機は、一定の間隔などで大きな音を発生させる装置です。人がその場にいなくても音を鳴らせることが特徴で、鳥獣対策用品として使われてきました。しかし、爆音機は同じ場所で音を繰り返すため、動物が慣れてしまう問題があります。

音が鳴るたびに驚いていたとしても、そこに食べ物があれば、再び近づいてくることがあります。サルを追い払う人手が足りないから爆音機を設置する、という考え方は理解できます。ただし、追い払いを完全に任せるつもりで導入すると、期待した効果が得られないかもしれません。

ヘビのおもちゃや忌避剤はどうなのか

ヘビのおもちゃや動物の模型なども、猿よけグッズとして紹介されることがあります。こうした製品は比較的安価で、購入後すぐに試しやすいことが魅力です。しかし、模型は動かない場所に置いたままになりやすく、サルに見慣れられる可能性があります。

忌避剤も同様に、製品ごとの成分や使用環境によって効果が異なります。安価な道具を試すこと自体は悪くありませんが、被害が続いているなら、別の追い払い方法や侵入防止策へ切り替えた方がよいでしょう。なお、ヤギを飼えばサルが来なくなるという話を耳にすることもありますが、ヤギは犬のようにサルを追い払うための動物として考えるべきではありません。

放牧による草地管理と、サルを直接追い払うことは目的が異なります。サルの追い払いだけを目的にヤギを導入することはおすすめしません。さまざまな猿よけ用品の特徴については、猿が怖がる物と猿撃退グッズの比較記事で紹介しています。

サルの追い払いに失敗する4つの理由

花火も使った。かかしも置いた。猿よけグッズだって買った。それなのに、サルは今日も平気な顔で畑にやって来る。そんな状態なら、道具だけでなく、追い払いのやり方そのものに問題がないか確認してみるとよいでしょう。

失敗① サルが少し移動しただけで満足している

畑にいたサルが、花火の音に驚いて近くの木に登る。あるいは、少し離れた林の中に移動する。そこで姿が見えなくなると、追い払いに成功したと思ってしまいがちです。しかし、サルが近くに残っていれば、人がいなくなったあとで戻ってくる可能性があります。

農林水産省の資料でも、個人の農地だけで追い払いを行う方法より、集落全体で追い払う方法の方が効果的だと説明されています。特に群れで出没する場合は、一匹が移動したことだけで判断せず、その後の出没状況も確認するとよいでしょう。何度も同じ場所に戻ってくるなら、その場所で食べ物を得られることが原因になっている可能性があります。

失敗② サルに食べ物を残している

これも見落としがちな問題です。収穫できなくなった野菜を畑に捨てていないでしょうか。柿やミカンが実っていても、収穫せずにそのままにしていないでしょうか。人間にとっては商品にならない野菜でも、サルにとっては十分な食べ物です。収穫が終わった畑に残った作物も、サルを呼び寄せる原因になります。

特に山際の放任果樹は、一度確認してみる価値があります。サルに追い払われた経験を与える一方で、好きなだけ果物を食べられる場所も残していては、対策がちぐはぐです。まずは畑に残っている食べ物を減らすことから始めるとよいでしょう。

失敗③ 同じ追い払い道具ばかり使っている

ロケット花火でサルが逃げた。それなら次も、その次もロケット花火で追い払おう。こう考えるのは自然ですが、効果が落ちてきたときには見直しが必要です。最初は目新しい音や物に警戒していても、何度も経験すれば慣れてくることがあります。爆音機を設置しているのにサルが畑を歩いているなら、音を鳴らすことだけでは足りていないのでしょう。

花火を使ってもすぐ戻ってくるなら、ほかの追い払い方法を取り入れたり、畑への侵入を防ぐ方法を検討したりするとよいでしょう。道具を変えたから必ず成功するとは限りませんが、効かなくなったものを漫然と使い続けるよりは合理的です。

失敗④ 自分の畑から追い払うだけで終わっている

サルは畑の境界線など気にしません。自分の畑から追い払われたら隣の畑へ移動し、そこで食べ物を見つければ居座ります。その後、また元の畑に戻ってくることもあるでしょう。こうした状況では、一人で追い払いを頑張っても、なかなか被害が減りません。

近所にも被害が出ているなら、出没した場所や時間を知らせ合い、複数の人が追い払いに取り組めるようにした方がよいでしょう。農林水産省が紹介する三重県伊賀市の下阿波集落では、住民による組織的な追い払いを継続した結果、サルの出没頻度が低下し、農作物被害も大きく減少した事例があります。

もちろん、どの地域でも同じ結果になるわけではありません。それでも、一軒の畑だけで追い払いを繰り返すより、地域全体で被害を減らそうとする方が、同じ群れへの対応を続けやすくなります。

サルが何度も来る畑を変えるには

集落で連携画像

サルを追い払う方法は、ここまで紹介したようにいくつもあります。しかし、どんな道具を使っても、畑に来れば簡単に食べ物を手に入れられる状況が続けば、被害が繰り返される可能性があります。もうこれ以上、サルに作物を荒らされたくない。そう考えるなら、追い払いと同時に畑の状態も見直した方がよいでしょう。

まずはサルがいつ、どこから来るのか調べる

サルが出没する時間帯や場所には、ある程度の傾向が見られる場合があります。例えば、午前中にばかり被害が出る畑もあれば、収穫前の果物が実る時期に集中して出没する場所もあります。毎日見張ることが難しくても、被害を受けた日時や、サルを見かけた場所を記録しておくと役立ちます。

確認する項目は難しいものではありません。

  • サルを見かけた日付と時間
  • 何匹くらい現れたか
  • どの方向から来たか
  • 何の作物が食べられたか
  • 追い払い後、また戻ってきたか

例えば、毎朝同じ時間帯に姿を見かけるなら、その時間帯に畑を確認する機会を増やすことを考えられます。また、同じ場所から侵入しているなら、その周辺の草刈りや侵入防止策を優先して検討できます。何となく「最近サルが多い」と感じているだけでは、効果的な対策を考える材料が足りません。

数日間でも記録を残せば、対策すべき場所や時間が見えてくることがあります。

サルが隠れやすい場所を減らす

畑の周囲に草や竹が生い茂っていると、サルが人に見つからずに近づきやすくなります。特に山林と畑が接している場所では、林の縁から突然サルが現れることがあります。こうした場所では、畑の周辺を草刈りし、見通しをよくする対策が役立ちます。もちろん、草を刈っただけですべてのサルが来なくなるわけではありません。

しかし、隠れられる場所を減らし、人がサルの接近に気づきやすくすることには意味があります。サルが毎回同じ藪から出てくるようなら、まずその周辺の管理を見直すとよいでしょう。

毎日見張れない畑は侵入防止も考える

サルが来るたびに追い払えればよいのですが、現実には難しいものです。畑仕事が終われば家に帰りますし、別の仕事をしていて畑に行けない日もあるでしょう。サルは人の都合に合わせて来てくれるわけではありません。人がいない時間に作物を食べられてしまうなら、追い払いだけに頼る方法には限界があります。

その場合は、サル用の防護柵など、畑への侵入を防ぐ方法も検討するとよいでしょう。ただし、サルは登ることが得意な動物です。イノシシやシカ向けの一般的な柵をそのまま設置しても、サルの侵入を十分に防げないことがあります。サルに対応した構造の柵を選び、侵入経路に合わせて設置することが重要です。

特に収穫直前の作物が多い畑では、一度侵入されるだけでも大きな被害になりかねません。追い払い道具を購入する費用と、防護柵を設置する費用を比較し、どこまで守りたいのか考えるとよいでしょう。

サルの餌場を減らさなければ、いつまでも戻ってくる

見落としたくないのが、畑の外にある食べ物です。放置された果樹、収穫されていない野菜、畑の隅に捨てられた作物などが残っていると、サルを引き寄せる原因になります。自分の畑だけ片付けても、隣の畑に収穫されない柿が大量に実っていれば、サルが地域に出没する理由が残ります。

特に、毎年同じ時期にサルが現れる場所では、周辺の果樹や作物も確認するとよいでしょう。人が食べなくなった柿やミカンでも、サルにとっては立派な食べ物です。「どうせ収穫しないから、そのままでいい」と放置したものが、周囲の畑の被害を増やす一因になることもあります。

追い払いを頑張っている農家がいる一方で、近くにサルの餌場が残っているのでは、なかなか結果が出ません。

近所の農家と出没情報を共有する

サルの群れが何度も現れる地域では、近所の農家と情報を共有することも効果的です。といっても、最初から大がかりな組織を作る必要はありません。まずは、サルを見かけたときに近所へ知らせることから始めるとよいでしょう。電話でも、普段使っている連絡手段でも構いません。

大切なのは、サルがどの場所に現れ、どちらへ移動しているかを複数の人が把握できるようにすることです。特に畑が隣接している場合、一軒だけで追い払っても、隣の畑へ移動するだけで終わる可能性があります。同じ群れによる被害が続いているなら、近隣で協力して追い払いに取り組む方がよいでしょう。

一人では毎日見回れなくても、複数の人が畑を確認していれば、サルの出没を発見できる機会も増えます。何度も作物を食い荒らすサルに対して、農家が一人ずつ腹を立てているだけでは、被害はなかなか減りません。

結局、憎きサルを追い払うには何を選べばよいのか

ここまで、さまざまなサルの追い払い方法を紹介してきました。どの方法を選ぶかは、サルの出没状況と、どれだけ継続して対策できるかによって変わります。まだ被害が少なく、サルが現れたときに人が対応できるなら、ロケット花火などから始める方法があります。

一方、花火などを使ってもサルが戻ってくるなら、別の追い払い道具や侵入防止策を検討した方がよいでしょう。手持ち式のスリングショットは携帯性を重視する人に向いています。スコープを備えたライフル式の道具を使いたい場合には、スリングライフルが候補になります。

犬を使った追い払いは、日々の管理や訓練を続けられる地域で検討するとよいでしょう。そして、人が畑を見回れない時間が長い場合は、追い払いと合わせてサル用の防護柵を考えることをおすすめします。

当店で取り扱っているサル対策用の道具

当店では、手持ち式のスリングショットと、ライフル式のスリングライフルを製造・販売しています。

当店の2つのセットを比較

すでにスリングショットを持っている場合や、両者の違いを詳しく知りたい場合は、スリングショットとスリングライフルの比較も参考になるでしょう。

まとめ|憎きサルにこれ以上、好き勝手させない

何か月もかけて育てた作物を、サルにあっという間に食い荒らされる。これほど腹立たしいことはありません。花火で追い払っても戻ってくる。かかしを置いても平気な顔で野菜を食べている。そんなサルに何度も畑を荒らされていては、農作業そのものが嫌になってしまいます。

サルの追い払いには、スリングショットやスリングライフル、ロケット花火、犬、エアガンなど、さまざまな方法があります。どの道具を使う場合でも、追い払ったあとにサルが戻ってこないか、作物の被害が減っているかを確認するとよいでしょう。

せっかく育てた作物です。

これ以上、憎きサルに好き勝手させたくないものです。

参考資料

山村 直也
この記事の著者
山村 直也
所属
株式会社守護テック / Slingshotrifle.jp
専門領域
スリングショット用品の開発・販売、害獣対策用品の評価、狩猟および有害鳥獣対策の実務、熊撃退スプレーを含む野外安全装備の評価

Slingshotrifle.jpを運営し、スリングショット用品の開発・販売、製品評価、使用方法の情報発信を行っています。狩猟免許を保有し、猟友会にも所属。狩猟や有害鳥獣対策の実務に関わる立場から、スリングショットの選び方、ゴムの特性、安全な使用方法、野外での備え方を解説しています。また、害獣対策用品や熊撃退スプレーの開発・評価にも携わり、農作物被害対策や有害鳥獣対策に関する情報発信も行っています。北海道での自然行動経験やヒグマ遭遇経験を踏まえ、実用性を重視した情報提供を心がけています。

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