まとめ
蛇のおもちゃを見て、猿が警戒したり避けたりする反応は報告されています。ただし、それ単体で畑の被害を防ぎ続けられるとは限りません。柵や追い払いに加えて使う補助用品です。
- 猿が蛇に敏感なのには、生まれつきの性質や経験が関係しています。
- 買う前に置く場所を考え、設置後は模型の状態と作物の被害を見ていきましょう。
この記事でわかること
猿が蛇を嫌う理由、実際に使った人の記録、蛇のおもちゃの選び方、畑や庭での置き場所、数と管理の考え方を説明します。
畑の野菜を猿に食べられると、「手軽に試せる方法はないだろうか」と考えますよね。そこで気になるのが、蛇のおもちゃを置く方法です。電源を用意せずに使え、音も出ないなら、家の近くの菜園でも取り入れやすそうです。
一方で、相手は野生の猿です。本当におもちゃを怖がるのか、最初だけではないのか。買う前に知りたいのは、そこだと思います。
今回は、猿と蛇の関係を調べた研究と、当店で使用してみた感想、その他蛇のおもちゃを使った人のブログを読み比べました。当店でも蛇型の対策用品を扱っていますが、良い結果だけを取り出して勧めるのではなく、どのような使い方なら検討できるかまで説明します。
猿がなぜ蛇が嫌いなのか?
猿が蛇を警戒する背景には、危険になりうる相手を早く見つける性質があると考えられています。ただし、「猿は例外なく蛇が大嫌い」というわけではなさそうです。
蛇を怖がるのは本能?
川合伸幸氏の論文では、蛇を見たことのない実験室育ちの猿も、蛇の写真を素早く見つけたことが紹介されています。一方、実際に蛇と対面させると、怖がる個体と、まったく怖がらない個体がいました。
猿が蛇を怖がる背景には、危険な相手を素早く見つけ、身を守るための仕組みがあると考えられています。蛇に早く気づいて警戒できれば、生き残るうえで有利になります。そのため、進化の過程で蛇の姿に注意を向けやすい性質が発達してきた、という考え方です。
森で生活する猿にとって蛇は一種の罠のような存在です。見つけ辛く、うっかり近づくと噛まれて死ぬ危険があり、サルにとっては普段の生活の中で最も警戒をしなければならない危険な生物なのでしょう。
さらに、蛇への恐怖は、ほかの猿の反応を見ることでも学ばれます。アカゲザルを対象にした実験では、蛇のおもちゃを怖がる猿の映像を見せると、それを見た猿も蛇を怖がるようになりました。自分が蛇に噛まれなくても、仲間の反応から「これは警戒する相手だ」と学べるわけです。
こうした研究から、蛇への恐怖には、生まれつき蛇に注意を向けやすい性質と、経験を通して危険を学ぶ働きの両方が関わっていると考えられます。「本能だけで怖がる」というより、生まれ持った性質に学習が重なって、蛇への警戒が形づくられる考えられます。
ウロコの模様にも反応する
蛇のどこに反応するのかを調べた研究もあります。
名古屋大学が2024年に発表した研究では、蛇を見たことのない3頭に写真を見せ、蛇とイモリを見つける速さを比べました。イモリの写真に蛇のウロコを合成すると、蛇を見つけるときと同じくらい、またはそれより早く発見する結果になりました。
ウロコの模様が、蛇を見つける手がかりになることを示す結果です。単に「長いものなら何でも同じ」とは考えにくい、という点は興味深いと思います。
野生の猿は、模型にも反応する?
では、写真ではなく模型ではどうでしょうか。
2025年の日本霊長類学会の報告では、野生のニホンザルの移動ルートに蛇の模型を置き、カメラで反応を調べています。設置直後には模型のあるルートを避けましたが、時間とともに行動の傾向が変わり、性別や年齢による違いも報告されました。
この実験では、蛇の模型でもサル撃退の効果は期待できるという事が立証され、畑に蛇のおもちゃを置くことである程度効果は期待できると考えられます。
猿対策に蛇を使ってみた効果検証
ここでは、実際に蛇のおもちゃを使った人のブログの記録と、当店のお客様に当店のサル避けスネークの効果を測定してもらった記録を紹介します。
ソラマメが無事だった家庭菜園の話
「☆ホロホロ☆菜園」の2025年5月25日の記事では、寒冷紗による目隠しと、蛇のおもちゃを併用しています。周囲で被害の話が出る中、ソラマメは無事に収穫できたと報告。ただし、絹さやには一部被害があり、筆者も蛇の効果かどうかは分からないとしています。
「13703600のブログ」の「猿の群れあらわる」では、電気柵の変更や上面のネットとともに、蛇のおもちゃを導入、時々位置を変え、以前より警戒して近寄りにくくなったと感じたことが書かれています。
「効かない」という意見もある
反対の見方もあります。NPOさともんの鈴木氏は「サルに蛇のおもちゃは効きません!!」という記事で、最初に嫌がっても慣れてしまうとして購入を勧めず、餌の管理とサルに対応した柵を重視しています。
完全に効かないというわけではなく、長期的な効果は望めないという点で上述の日本霊長額会の報告と一致しています。害獣対策ではこれをやれば完全に被害を防げるというものは無く、駆除か物理的には入れないようにする以外は長期的な効果は見込めないというのが基本にして真理です。
スリングライフル購入者にサル除けスネークを使ってもらった
当店のスリングライフル購入者のお客様3名に猿よけスネークはどれくらい効果があるのか実際に試してもらいました。3名中2名の方は効果があったとの事です。ただし長期的に検証したものではないのでその点には注意が必要です。
家庭菜園で使った方
そら豆の栽培をしている方で豆を食べられていた場所の近くに置いてみたところその後、猿が近くまで来ても、そこで足を止めて周りを見ている場面がありましたとのこと。
「いつものようにそのまま畑へ入る感じではなかったので、スネークを気にしているのかなと思いました。音が出ないので、普段の農作業の邪魔にならないところも使いやすかったです。
ただ、スネークを置いてから一度も来なくなった、というわけではありません。見回り時に、スリングライフルでも対応しました。追い払いの際には畑から離れていったので、こちらも手応えを感じました。」
トウモロコシ畑で使用
山間の畑でトウモロコシを栽培している方で、1週間ほど前から、サルが遠くから畑を見ている姿を見かけるようになり、トウモロコシを守るためにスリングライフルを購入したとのこと。その際、猿よけスネークのモニターに協力してもらいました。
「スネークは、サルが畑へ入ってきそうなルートに分けて設置しました。あわせて、スリングライフルを持って畑を見回り、サルを見かけたときには何度か追い払いを行いました。
その後、私が畑にいない間も、トウモロコシは食べられていませんでした。スネークとスリングライフルのどちらがどれだけ効いたかは分かりませんが、併用している間に被害が出なかったので、対策は役立ったのではないかと感じています。 」
果樹栽培でのサル避けに使用
柿や桃などを育てている方で、サルやイノシシ、ハクビシンの対策にスリングライフルを購入したとのこと。サルは近くまで来ても、人を怖がる様子がなかったそうです。
「スリングライフルで追い払いを行い、あわせてサルが来る方向に猿よけスネークを15匹設置しました。
追い払ってからはサルを見かけなくなりました。ただ、その後はスネークへの反応を確認する機会がないので、スネークの効果については今のところ分かりません。」
蛇のおもちゃは、どんなものを選ぶ?
選ぶときは、見た目だけでなく、置く場所と扱いやすさも見てください。注意点としてはサルから見えること、同じ場所に置きっぱなしにしない事です。
百円ショップの蛇でもいい?
百円ショップで購入した蛇を使った例はありますが、その記録から「百円のものでも十分」「高いものは不要」とまでは決められません。反対に、価格が高ければ猿への効果も高いという事もありません。ただ100円均一で買えるものは小さいので猿から見えるのかどうか、存在感が薄いという点には注意が必要です。
ただし、ニホンザルにはる青大将、ヤマカガシ、マムシに似たものを選ぶとよいと思います。理由はコブラなどの蛇は日本に生息していないので猿が怖がるかどうか確実ではないからです。
色や形は、どう見ればよい?
蛇のおもちゃには、細長い形、とぐろを巻いた形などがあります。場所によって置き方を変える必要があるので、いろいろな形状にすることのできる柔らかめの素材を使用した物がお勧めです。
当店の猿よけスネーク5匹セットは、黒とグリーンの配色で、青大将に似せた蛇となっています。とぐろを巻いた形にもなりますし移動中のように長く置くことも可能です
猿が通ることが濃厚な場所では3メートル間隔、その他の場所では大体5メートル間隔で置くとサルが発見して効果を期待できるのでカバーしたい範囲が事前にどれくらいなのか測って導入するとよいと思います。
蛇のおもちゃはどこに置く?

まず候補にしたいのは、被害が出ている作物の周辺と、猿が入ってきた側です。
当店では、畑の入口、作物周辺、柵沿い、木の根元、倉庫周辺を設置候補に挙げています。以下は、その候補を自分の敷地に当てはめるための考え方です。
畑の入口に置けばいい?
人が使う入口と、猿が入る場所が同じとは限りません。入口に置いたのに反対側の野菜が食べられるなら、その被害場所の周りも見てみましょう。
例えば、入口近くには被害がなく、奥のトマトだけ食べられている場合です。入口に増やす前に、奥の柵や周囲の木、そこへ続く足場を確認します。猿は手足で物をつかんで移動できるので、地面にある出入口だけが経路ではありません。
野菜の陰に隠れていないか
置いた日は見えていた蛇でも、草や作物が育つと葉の下に隠れることがあります。見た目を利用する用品なのに、どこへ置いたか自分でも探す状態なら、まずその配置を直したいところです。
大事なのは必ず猿の目に入る角度に置くことです。
庭に置くときは、家族や来客にもひと言
庭先では、猿だけでなく人の目にも触れます。玄関を開けたら蛇がいる、植木鉢を持ち上げたら蛇が見える。そういう置き方では、家族や来客が驚いてしまいます。
設置前に家族へ伝え、通路、階段、物を取り出す場所は避けてください。敷地の内側でも、道路を歩く人が本物と見間違える位置なら、置き場所を考え直した方がよいでしょう。
また、猿が目の前にいるときに蛇を見せ近づく使い方は本来の使い方ではありません。設置作業より安全を優先し、近づかない、目を合わせない、刺激しない、食べ物を見せないことを守ってください。身の危険がある場合は110番へ連絡します。
蛇のおもちゃは何匹必要?
大体3~5メートル間隔で1匹置くような使い方をします。サルが見つけてくれなければ効果は期待できないのでその点は注意が必要です。また、あからさまに蛇が見えるように置くのも偽物だと見破られる確率が上がるので、あたかも本物が潜んでいそうな草陰や、樹上に設置するのがお勧めです。
置きっぱなしにせず、ときどき場所を変える
設置したら、水やりや収穫など、普段の作業に合わせて様子を見てください。当店商品では、慣れへの対応として位置や向きの変更を案内していますが、何日おきなら効果が続くという目安は状況によるのでありません。一度サルが蛇を発見して効果があっても戻ってきて同じ場所に蛇があればサルは賢いので偽物だと見破ります。
猿が出る時期に見回りに行くと思うので、その時のルーティンとして置き場所を変えるというような運用でもよいと思います。確実性を求めるなら手間ですが毎日場所を変更してサルに見破られないような努力必要かもしれません。
蛇を置いても猿が来るときは
被害が続いたときは、どこで食べられているかを見てください。置いた場所とは別なのか、模型のすぐ近くなのかで、次に確かめたいことが変わります。
原因を一つに決めつけず、分かっていることから順に潰していきましょう。
置いていない場所で食べられていないか
入口付近では被害がなく、奥の作物だけ食べられているなら、模型のある場所と被害の場所がずれています。今ある模型を移せるか、その周辺に侵入しやすいところがないかを確認します。
一方、蛇模型が倒れている、草に隠れている、いつの間にか作業道具の陰になっている場合は、先に設置状態を直します。どちらも「猿が慣れた」と決める前に確認できることです。
| 今の状態 | 次にすること |
|---|---|
| 模型が倒れた、隠れた、移動した | 置き場所と安定性を直す |
| 模型のない側で被害が出る | その側の経路を見て、今ある模型の移動を検討する |
| 模型の近くでも被害が続く | 模型だけに任せず、柵と食べ物の管理他の対策を検討する |
| 留守が長く、状況が分からない | 追加購入より先に、点検できる機会を作る |
この表だけで原因が確定するわけではありません。例えば、模型のそばで被害があっても、猿が模型を見たかどうかまで分かったことにはなりません。ただ、現状の対策ではその作物を守れていない、という判断はできます。
原因を完璧に証明してからでなければ次へ進めないわけではないので、被害が続くなら防ぐ方法を見直しましょう。
猿以外に食べられていないか
猿が近所にいるからといって、畑で起きた被害がすべて猿によるものとは限りません。目撃していない場合は、食べられた場所や残った痕跡も一緒に確かめてください。
足跡、体毛、引き抜かれてかじられた作物などで、サルかどうか判別できるので確認するようにしましょう。
柵と野菜くずも見直す
蛇のおもちゃは通り道を物理的にふさぐものではありません。畑に入りやすく、食べられるものも残っているなら、それらに対しての対策が必要です。
害獣対策の基本ですが野菜くずなどを猿の餌になる場所へ捨てないことと、イノシシやシカ用の柵では、サルの侵入は防ぎきれない場合があります。
まず、出入口の閉め忘れ、破れや隙間、周囲から乗り移れる場所を確認してください。
野菜くずや落果も、畑の端へ寄せただけでは、食べられる場所を移しただけになります。地域のルールに沿って、猿が食べられないように処理しましょう。
週末だけの菜園なら、どう使う?
留守の間も模型はそこにありますが、その間の状態までは自動で確認してくれません。風で移動したのか、草に隠れたのか、別の側で被害が出ているのかは、誰かが見なければ分からないままです。
被害が続いているなら、必要に応じて地域の担当窓口へ相談し、柵や管理の方法を含めて考えましょう。方法を広く比べたい方は、当店のサル対策用品の比較記事も参考にしてください。
まとめ
蛇のおもちゃに猿が反応するという実験結果、実際に試してみて効果はあるという事は間違いありません。ただし、それだけで被害を完璧に防げるというものでもありません。警報機のような音を使いにくい場所で取り入れたり、被害を見ながら続けるか判断する補助用品として蛇おもちゃの設置がお勧めです。
購入前に決めたいのは、置く場所と、それを見回る方法です。設置後は模型の状態だけでなく、収穫したい作物が守れているかを確認してください。被害が続くなら、数を増やすことより柵や食べ物の管理を見直す方を優先します。
参考資料
- 川合伸幸(2011)「ヘビが怖いのは生まれつきか?:サルやヒトはヘビをすばやく見つける」『認知神経科学』13巻1号、103–109頁。公開抄録を参照。
- 名古屋大学(2024年11月18日)「ヘビの怖さはウロコのせい!?」研究発表資料。研究概要と実験図を参照。
- 櫻木正太・大秦正揚(2025)「野生下のニホンザルのヘビ模型に対する反応」第41回日本霊長類学会大会、65頁。公開要旨を参照。
- ☆ホロホロ☆菜園(2025年5月25日)「#268【ソラマメ】カラスと猿からヘビが守ってくれたかも??」。
- 13703600のブログ「猿の群れあらわる」。
- NPOさともん・鈴木氏「サルに蛇のおもちゃは効きません!!」。
- 高知県「ニホンザルの生態と被害対策について」
- 福井県「サルの生態と被害の防ぎ方」。
- 千葉市「サルを目撃したら」。
- Slingshotrifle.jp「猿よけスネーク5匹セット」。


