猿の生態と特徴をわかりやすく解説|食べ物・行動・季節変化・群れのしくみ

ニホンザルは日本の山林にすみ、農地や住宅地に現れることもあるサルです。木の上と地上を行き来し、果実や葉、種子などを食べ、群れで暮らしています。食べ物の種類や量が季節によって変わるため、群れの移動先や一日の過ごし方も変わります。人里で繰り返し目撃される背景には、こうした食べ物との関係に加え、農作物を食べた経験や人への慣れがあります。

この記事でわかること
    • 霊長類の中での猿の位置づけと、ニホンザルの体・感覚の特徴
    • 学習、食べ物、水分の取り方と、季節ごとの生活の変化
    • 一日の行動、夜の休息、生息環境と行動範囲
    • 群れの順位、鳴き声、毛づくろい、子育てと警戒
    • 食べ物・隠れ場所・学習が、人里への出没に関わる理由

猿はどんな動物か|ニホンザルの分類と分布

ニホンザルは、赤い顔と短い尾が特徴の哺乳類です。顔とお尻には毛が少なく、皮膚の下を流れる血液の色が透けて赤く見えます。交尾期には、オスもメスも赤みが鮮やかになります。

ニホンザルは霊長類のオナガザル科

霊長類は、ニホンザルやチンパンジー、ゴリラ、ヒトなどが属する哺乳類の一群です。ニホンザルはその中のオナガザル科に分類され、学名はMacaca fuscataといいます。

類人猿とは尾や体つき、移動の仕方が違う

チンパンジー、ゴリラ、オランウータン、テナガザルなどは類人猿と呼ばれ、尾がありません。ニホンザルには短い尾があり、前足と後ろ足は同じくらいの長さで、地上では四足で歩きます。

シロテテナガザルは長い腕で枝にぶら下がり、次の枝へ渡ります。この移動を「腕渡り」といいます。ニホンザルは枝の上に手足を置いて歩くため、同じ木の上でも体の使い方が違います。

種や地域による暮らし方の違い

シロテテナガザルが家族単位で生活するのに対し、ニホンザルは複数のオスとメス、その子どもを含む群れで暮らします。

ニホンザルが自然に生息しているのは、本州・四国・九州と、その周辺の一部の島です。北は青森県の下北半島、南は鹿児島県の屋久島まで分布しています。一年を通して葉のある常緑広葉樹の森にも、冬に葉を落とす落葉広葉樹の森にもすみ、地域や季節によって食べる物が変わります。

猿の手足と歯の特徴

ニホンザルは手足で枝をつかんで登り、地上では四足で歩きます。食事では手で食べ物を口へ運び、歯でかみ切ったり砕いたりします。

足でも枝を握れ、手の指先では小さな物をつまめる

手と足には、それぞれ5本の指があります。足の親指もほかの指と向かい合うため、手と同じように枝を握ることができます。地上を歩くときは、手のひらと足の裏を地面につけます。

ニホンザルは指先で小さな食べ物をつまみます。毛づくろいの際には、シラミやその卵を指で拾い上げます。

細い足場を歩くときの姿勢

ニホンザル2頭の歩き方を平地と細い棒の上で比べた研究では、棒の上を歩くときの方が腰の位置が低くなっていました。手足を前に運ぶときにも、棒の表面からあまり高く持ち上げませんでした。研究者は、これらの動きを、姿勢の安定や転落の防止につながるものと考えています。

食べ物をかむ歯と、一時的にためる頬袋

前歯にあたる門歯は食べ物をかみ切る歯、奥歯の臼歯はかみ砕く歯です。ニホンザルはこうした歯を使い、果実や葉、種子などを食べています。

頬の内側には、口に入れた食べ物を一時的にためる「頬袋」があります。ニホンザルは食べ物をすぐに飲み込まず、いったん頬袋へ入れ、後で口に戻して食べることがあります。

猿の視覚と、木の上・地上での動き方

ニホンザルは、木の幹を登る、枝の上を歩く、地面を移動するといった動きを組み合わせて暮らしています。枝をつかめる手足に加え、物を立体的に見られる目も、木の上での移動に関わっています。

物を立体的に捉え、色を見分ける

ニホンザルは、顔の正面に並んだ両目で物を立体的に見ています。この視覚によって、枝までの距離や地面からの高さを捉えられます。色覚も基本的にはヒトと同じで、色の違いを見分けられます。

木の上と地上の両方で食べ物を探す

ニホンザルは、枝についている果実や葉を食べるほか、地上でも種子や昆虫などを食べます。木の上を移動したり地面を歩いたりしながら、その時期にある食べ物を利用しています。

経験や仲間との関わりから新しい行動を覚える

ニホンザルの食べ方や人への反応は、経験によって変わります。自分で食べ物を得た経験がその後の行動に影響するほか、仲間の間に新しい食べ方が広がることもあります。

自分の経験から覚える「個体学習」

自分で経験して行動を覚えることを「個体学習」といいます。京都大学幸島観察所の調査では、体重計の上に餌を置き、サルが自分で乗るのを待って体重を量っています。体重計に乗ると餌がもらえることを、サルが覚えているためです。

農作物を食べた群れが同じ畑や人里に繰り返し現れることも、食べ物を得た経験と関係しています。食べ物が残り、人に追われずに過ごせる場所では、サルがその場所や人に慣れていきます。

仲間との関わりで広がる「社会学習」

仲間の行動を見たり、関わったりする中で、新しい行動を覚えることを「社会学習」といいます。宮崎県幸島のイモ洗いは、1953年に若いメスの行動として見つかり、血縁のある個体や遊び仲間を通じて、少しずつ群れの中に広がりました。初めは小川でイモを洗っていましたが、後には海水につけて食べるようになりました。

初めて見る玩具と食べ物では、反応に差がある

2013年に幸島で行われた初めて見る物や食べ物への反応を調べた研究では、プラスチック製の玩具と、殻をむいたゆでウズラ卵をサルに見せました。150秒間の試験中、一度も近づかなかった個体の割合は、玩具では58%、食べ物では19%でした。

猿は植物を中心に食べる雑食の動物

ニホンザルは、果実、種子、花、葉、芽、樹皮などを食べます。植物が食事の中心ですが、キノコや昆虫、小さな動物も食べます。食べ物を探し、取って食べる行動を「採食」といい、一日の中でも何種類もの物を口にします。

葉や樹皮の消化を助ける腸内細菌

ニホンザルは、果実や種子が不足する季節には葉や樹皮を食べます。葉や樹皮は繊維が多く、サル自身の酵素だけでは十分に消化できませんが、腸内細菌が発酵によって分解し、サルのエネルギー源になる物質を生み出します。屋久島の野生ニホンザルを調べた研究では、サルが葉を多く食べる冬に、腸内細菌が葉を発酵させる能力も高まっていました。

春の葉や花から、秋の実、冬の樹皮へ

季節によって変わるニホンザルの食べ物

2000年春から2002年秋に行われた宮城県金華山での調査では、季節によって食事の内容が次のように変わっていました。

季節 金華山の調査で見られた食べ物
春 葉、花
夏 果実、葉、キノコ、動物性の食べ物など
秋から冬 堅い木の実や種子
冬 樹皮、冬芽

上高地では、冬に魚や水生昆虫も食べる

冬の上高地で水生昆虫を食べるニホンザル

長野県上高地には、湧き水などが流れ込むため、冬も雪に覆われない小川があります。この地域の冬の採食を調べた研究では、ニホンザルが石を裏返し、水生昆虫の幼虫を指でつまんで食べる姿が撮影されています。浅い流れで魚を追い、岩の隙間へ逃げ込んだ魚を両手で押さえて、口で捕らえる行動も観察されました。

水分は食べ物と水場の両方から取る

ニホンザルは川などの水を飲み、食べ物からも水分を取ります。果実と乾いた種子では含まれる水分の量が違うので、食事の内容によって飲む水の量も変わります。上高地の調査では、川辺で採食する姿に加え、水を飲む姿もカメラに写っていました。

季節によって移動先や生活リズムが変わる

ニホンザルは、主な食べ物が替わると、採食する場所も変えます。同じ季節でも、木の実の実り方が違う年には、群れが利用する場所が変わることがあります。積雪や川の増水も、どこで食べ物を取れるかに関わります。

同じ季節でも、年によって移動先が違う

金華山では、2001年の秋はカヤの種子、2002年の秋はブナの実が主な食べ物でした。主な食べ物が年ごとに替わる秋から早春は、春や夏に比べて、群れが利用する場所の年ごとの差も大きくなっていました。

移動距離と一日に使う範囲は、夏に最も大きく、冬に最も小さいという季節差がありました。冬から早春を年ごとに比べると、草本類を主に食べた2002年の方が、前年より長い距離を移動し、広い範囲を使っていました。

気温や雪、川の水位によって、過ごす場所が変わる

ニホンザルは、暑い時期には涼しい場所、冬には暖かい場所で過ごすことが多く、風雨が強いときには、それを避けられる場所に移ります。食べ物がある場所でも、天候によって近づけなくなることがあります。

2024年2月の上高地では、気温の上昇と雨で雪解けが進み、川が増水しました。採食行動と気象条件を調べた研究では、このときサルが川沿いに近づけなくなり、水生昆虫を食べる頻度が大きく減ったことが報告されています。

金華山の例では、年によって主な食べ物と利用場所が替わり、上高地の例では、冬の途中の増水で川辺の採食が減っています。サルが食べ物を取る場所には、季節の変化に加え、その年の実りや、そのときの天候の影響が重なっていると考えます。

複数の食べ物が豊富な場所で採食する

2002年に宮崎県幸島でオトナのメス6頭を季節を変えて追跡した調査では、行動範囲を100m四方に区切り、食べ物の量と、サルがそこでどれだけのエネルギーを得たかを比べています。月によって主に食べる物が替わっても、何種類かの食べ物が豊富にある区画で、多くのエネルギーを得ていました。

猿の一日の過ごし方|採食・移動・休息・毛づくろい

ニホンザルは昼行性で、主に明るい時間に活動します。日中は採食、移動、休息を繰り返し、仲間との毛づくろいにも時間を使います。夜は活動を減らし、休息場所で過ごします。

食べる物によって、採食や休息に使う時間が変わる

金華山と屋久島で行われた研究では、日が長い月ほど、また採食にかかる時間が短い月ほど、移動や休息の時間が長くなる傾向がありました。サルが何を多く食べるかによって、食べるのに使う時間と、食べ物のある場所まで歩く時間の割合が変わります。

毛づくろいで体を手入れし、仲間との関係を保つ

毛づくろいでは、体毛に付いたシラミの卵などを取り除きます。頭や背中など、自分では手入れしにくい部分は、ほかのサルに毛づくろいしてもらいます。毛づくろいを交わすことは、個体同士の結びつきを強める行動でもあります。

夜を過ごす場所は、季節によって変わる

群れは、ふだんの生活範囲にある複数の場所で夜を過ごします。金華山の寝場所を調べた研究では、地上のさまざまな場所が利用され、春と冬には尾根より谷が選ばれていました。岩や倒木が風よけになることが、谷で夜を過ごす理由の一つと考えられています。

春には、よく食べる植物が豊富な草地が寝場所として選ばれ、一部の場所は繰り返し使われていました。同じ草地でも、食べ物が少なくなる冬には寝場所として避ける傾向がありました。

生息環境と行動範囲|森林から里山までの暮らし

ニホンザルは、冬に葉を落とす落葉広葉樹林にも、一年中緑の葉がある常緑広葉樹林にも暮らします。群れで移動しながら、木の上と地面の両方で食べ物を探します。

森と農地の両方を利用する群れもある

森では木の実や葉などを食べます。行動範囲に農地が含まれる群れは、作物や収穫後に残った野菜なども食べます。

群れの頭数や森林の状態で、行動範囲の広さが違う

群れが採食や休息に使う一帯を「行動域」や「行動圏」といいます。環境省の管理ガイドラインでは、一つの群れが使う範囲は数平方キロメートルから数十平方キロメートルに及び、群れの頭数や、その土地に生えている植物によって広さが異なるとされています。行動域が広い群れでは、その範囲に針葉樹の植林地が含まれる例が多くあります。

群れの行動域は比較的安定していますが、周囲の群れとの関係や環境の変化に伴って変わります。その範囲の中でも、季節によってよく訪れる場所は変わります。

食べ物のある場所を結ぶ移動経路

耕作地を利用する群れの中には、その周りを巡って歩くものがいます。食べ物の位置や農地の配置によって、群れが歩く経路にも違いが出ます。

ニホンザルの群れは、母親側の血縁を中心にできている

ニホンザルの群れには、複数の大人のオスとメス、その子どもがいます。メスは基本的に生まれた群れで暮らし続けるため、母親と娘、姉妹などが同じ群れに残ります。こうしたメスの血縁を中心とする社会を「母系社会」といいます。

毛づくろいをし、寒い日には体を寄せ合う

群れには、毛づくろいをし合う相手や、子どもの遊び相手がいます。寒い日には仲間同士が体を寄せ合って暖を取ります。

群れの頭数と、オスの出入り

群れの規模は、十数頭から100頭を超えるものまでさまざまです。子どもの誕生やオスの出入りに加え、群れが分裂することでも頭数は変わります。分裂するときは、多くの場合、母親と子などの血縁集団ごとに分かれます。

オスは成長すると生まれた群れを離れ、単独やオスだけの集団で暮らしたり、別の群れに加わったりします。一頭で行動する個体は、ハナレザルなどと呼ばれます。別の群れに入った後も、再びそこを離れて、ほかの群れへ移ることがあります。

ほかの群れへの警戒が、食事を中断させることもある

群れごとの行動域には重なる部分がありますが、ふだん特によく使う場所では、ほかの群れを排除する傾向があります。食べ物のある場所を利用できるかどうかには、周囲の群れとの関係も影響します。

二つの群れに属する大人のサル11頭を対象にした別の群れの声を聞かせる実験では、相手の姿が見えない段階でサルが食事を中断し、周囲を見回す行動が増えました。食べ物の多い場所でも、ほかの群れへの警戒に時間を取られるなら、食事に使える時間は短くなります。サルがその場所でどれだけ食べられるかには、食べ物の量と、周囲の群れとの関係の両方が関わると考えます。

群れの順位は、食事や休息中の行動にも表れる

同じ群れの中には個体間の順位があり、食べ物や交尾相手をめぐる場面で優劣が表れます。最も順位が高いオスは、「第一位オス」や「アルファオス」と呼ばれます。上位の個体が近づくと場所を譲るなど、相手との関係によって行動が変わります。

体を寄せ合うときの位置にも、順位の差がある

寒さをしのぐ「サル団子」

香川県小豆島の銚子渓周辺で、サルが体を寄せ合う「サル団子」を調べた研究では、順位の高いオスほど集団の内側に入り、体が触れ合う相手の数も多くなっていました。研究者は、高い順位を得ることが、食べ物や繁殖の機会に加え、効率よく寒さをしのぐことにもつながると考えています。

オスは群れにいる期間、メスは家系が順位に関わる

オスの順位は、新しい群れに入るときに決まるのが基本です。その後、自分より上位のオスが群れを離れると順位が上がるため、長く群れに残ったオスの順位は高くなっていきます。メスでは母親側の家系が影響し、順位の高い家系に生まれたメスは、若くても高い順位になります。

争いには、母親や仲間が加わることもある

メスが争いに巻き込まれると、同じ群れにいる母親やおばが助けに入ることがあります。母親やおばが争いに加わるため、若いメスの順位にも家系が影響します。オスが新しい群れへ入るときには、その群れのオスたちが協力して対抗する場合もあります。

鳴き声や表情、毛づくろいで仲間とやり取りする

ニホンザルは、食事や移動の間に声を交わし、仲間の位置を伝え合います。相手のそばでは、唇を動かしたり、体に触れたりするやり取りも見られます。

鳴き交わす声で、互いの位置が伝わる

「クー」と聞こえる穏やかな呼び声を「クーコール」といいます。一頭が鳴くと、別のサルが同じ声で返します。食事や移動の間に鳴き交わす声が、森の中で互いの位置を知らせる役割を持っています。

唇の動きや声で、相手との緊張を和らげる

唇を細かく開閉する動きを「リップスマッキング」、「グニュグニュ」と聞こえる声を「ガーニー」といいます。毛づくろいの前には、こうした表情や声で相手との緊張を和らげるやり取りが見られます。

抱き合い方にも、地域ごとの違いがある

宮城県金華山と鹿児島県屋久島で抱擁行動を調べた研究では、主に大人のメス同士が、争いの後や親しくない相手と近づいたときに抱き合い、その後に毛づくろいを始めていました。金華山では正面から抱き合って体を前後に揺すり、屋久島では横や後ろからも抱きつき、相手をつかむ手のひらを開いたり閉じたりします。

研究者は、この抱擁には緊張を和らげる働きがあり、地域ごとの抱き合い方は、仲間の間で伝わってきた文化だと考えています。群れの中で伝わる行動には、食べ物の取り方に加え、相手との付き合い方も含まれる可能性があります。

ニホンザルの繁殖と子育て

ニホンザルは主に秋から冬に交尾し、春から夏に出産します。妊娠期間は170〜180日ほどで、通常は一度に一頭を産みます。出産は2〜3年に一度が目安ですが、栄養状態がよい個体では毎年出産する場合もあります。

母親の体につかまり、母乳を飲んで育つ

生まれた子どもは母親の体につかまり、母乳を飲んで育ちます。急な崖や海辺の岩場などを移動するときは、母親が子どもを腹や背中に乗せて運びます。成長すると自分で歩く機会が増え、1歳ごろにはほかの子どもともよく遊ぶようになります。

固形物を食べ始めるのは生後1か月ごろで、その後もしばらく母乳を飲みます。離乳は生後6か月ごろから始まり、11〜18か月ごろに終わります。

成長につれて、付き合う相手が広がる

餌付けされている野外の群れを調べた研究では、幼い個体が最初は主に母親のそばで食べ、成長すると同年代の仲間のそばでも食べる様子が記録されています。近くにいるサルが食べていると、子どもも食べる傾向がありました。こうした食事の場面は、周囲のサルが選ぶ食べ物に接する機会になっていると考えられます。

食事以外でも、子どもは遊ぶ相手を増やし、母親以外の大人と関わるようになります。その間も、母親との強い結びつきは続きます。

天敵や周囲の動物に対する警戒行動

ニホンザルの警戒行動には、周囲を見回す、声を出す、地上から木へ移るといったものがあります。近づいてきた相手や、そのときの場所によって反応が変わり、個体による違いもあります。

クマタカによる捕食と推定された事例

広島県での事例をまとめた論文では、1997年に見つかった大人のメスの死体について、クマタカに捕食されたと推定しています。現場ではクマタカが繰り返し目撃され、サルの頭骨には、猛禽類による致命的な傷が認められました。

キツネの接近に、木へ移る個体と食べ続ける個体

上高地でキツネが接近した際の学会報告では、四つの事例すべてで複数のサルが警戒音を出し、その直後に若い個体が地上から木へ移りました。順位が二番目のオスが木の上で鳴くなか、第一位のオスは地上で食べ続けていた場面もありました。

人への警戒が変わる場所や時間帯

宮崎県幸島での野外観察の記録では、調査用の餌が与えられ、観光客も訪れる砂浜のサルは人によく慣れています。一部の研究者しか入らない森では、特に早朝や夕暮れに人への警戒が強まる様子が記されています。

人里に猿が現れやすくなる条件

ニホンザルは人里でも、農作物や取り残した果実を食べます。林ややぶに囲まれた農地では、畑のそばに隠れ場所もあります。人への慣れが進んだ群れでは、集落が日常の採食場所になることがあります。

収穫後に残った果実や野菜くずも食べる

収穫後に残された食べ物と猿の出没

人里には、栽培中の作物のほか、取り残した柿や栗、畑に置かれた野菜くずなどがあります。秋に収穫しなかった果実や、冬に畑へ残した白菜の外葉なども、サルは食べます。

取り残した果実や野菜くずがあれば、サルは収穫期を過ぎてもそこで食べ物を得られます。収穫後の片付けには、畑が餌場として使われる期間を短くする意味もあると考えます。

畑のそばの林ややぶが、隠れ場所になる

農地の周囲にある林ややぶは、ニホンザルの住みかや隠れ場所になります。畑のすぐ近くにこうした場所があれば、サルが食べる場所と、身を隠したり休んだりする場所が隣り合います。

畑で食べ、近くの林で休める場所なら、採食と休息のたびに遠くまで移動せずに済みます。食べ物の量に加えて、食べる場所と休む場所が近いことも、人里を繰り返し利用する理由になると考えます。

農作物を食べる経験と、人への慣れが重なる

農作物を食べた経験のある群れが、同じ畑や人里に繰り返し現れることがあります。人里に出ても追われない状態が続くと、人や集落への警戒心は薄れ、人に慣れたサルは家の中に入り込むこともあります。

周囲の群れとの関係や環境の変化によって、群れの行動範囲が人里へ近づくこともあります。同じ場所で何度も姿を見かける背景には、季節ごとの食べ物を求めて戻ってくる場合と、群れが日常的に使う範囲が集落側へ広がった場合の両方が考えられます。

対策をしても畑への出没が続く場合は、サル対策が効かない原因を参照してみてください、食べ物が残っている場所や侵入経路など、見直す箇所を紹介しています。

猿の生態と特徴に関するよくある質問

ニホンザルは主に昼間に活動し、植物を中心に食べます。食事の内容や移動する距離は、生息地と季節によって変わります。

猿は何を食べる?

ニホンザルは植物を中心に食べる雑食性の動物です。果実、種子、葉、花、芽、樹皮のほか、昆虫やキノコ、小型の動物なども食べます。季節と生息地によって、食事の中心になる物が変わります。

季節で何が変わる?

食べ物の種類と、食べ物を探す場所が変わります。春には若葉や花、秋には果実や種子を食べ、積雪のある地域では冬に樹皮や冬芽などを食べます。気温や風雨に応じて、休む場所も変わります。

猿はどの時間帯に活動する?

ニホンザルは主に日の出から日没までの明るい時間に活動し、夜は休みます。日中は採食、移動、休息を繰り返し、それぞれに使う時間は昼の長さや食べ物の種類・量によって変わります。

猿はなぜ群れで暮らす?

仲間に毛づくろいをしてもらえることや、寒い日に体を寄せ合って暖を取れることが、群れで暮らす利点です。争いの際には、同じ群れにいる母親やおばが助けることもあります。

猿はどのくらい賢い?

自分の経験から食べ物の取り方を覚えるほか、仲間との関わりを通じて新しい行動を身につけます。幸島で見つかったイモ洗いは、始めた個体と血縁のあるサルや遊び仲間を通じて、群れの中に広がりました。

猿はどんな場所に住む?

ニホンザルは本州・四国・九州と周辺の一部の島に分布し、落葉広葉樹林や常緑広葉樹林で暮らしています。里山や農地周辺の森林を利用する群れもあり、食べ物や周囲の環境によって使う場所が変わります。

猿を撃退するにはどうすればいい?

猿を撃退するには猿を知り、猿被害が今どの段階にあるのかを把握する必要があります。猿撃退グッズの効果の記事で詳しく紹介しているのご覧になってみてください。

まとめ:猿の生態と特徴の要点

ニホンザルは、木の上と地上の両方で食べ物を取り、季節ごとに採食場所を変えながら群れで暮らしています。人里に現れる行動にも、食べ物の分布や学習、周囲の群れとの関係が影響します。

  • 枝を握れる手足と、物を立体的に捉える視覚を持ち、木の上と地上の両方で活動します。
  • 植物を中心に幅広い物を食べ、季節やその年の実りに応じて、食べる物と採食場所が変わります。
  • 母親側の血縁を中心に群れができ、順位や仲間との関係によって、食べる場所や休む位置も変わります。
  • 人里への出没には、食べ物、隠れ場所、そこで食べ物を得た経験や人への慣れが関わります。

畑・家庭菜園のサル対策では、作物の種類や見回りの頻度に応じた対策を紹介しています。スイカやトウモロコシ、いも類、果樹の被害と、留守中の侵入を防ぐ方法を扱っています。

参考資料

本文の説明と考察の根拠として使用した資料を掲載しています。

山村 直也
この記事の著者
山村 直也
所属
株式会社守護テック / Slingshotrifle.jp
専門領域
スリングショット用品の開発・販売、害獣対策用品の評価、狩猟および有害鳥獣対策の実務、熊撃退スプレーを含む野外安全装備の評価

Slingshotrifle.jpを運営し、スリングショット用品の開発・販売、製品評価、使用方法の情報発信を行っています。狩猟免許を保有し、猟友会にも所属。狩猟や有害鳥獣対策の実務に関わる立場から、スリングショットの選び方、ゴムの特性、安全な使用方法、野外での備え方を解説しています。また、害獣対策用品や熊撃退スプレーの開発・評価にも携わり、農作物被害対策や有害鳥獣対策に関する情報発信も行っています。北海道での自然行動経験やヒグマ遭遇経験を踏まえ、実用性を重視した情報提供を心がけています。

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