カワウの食べ物は何?魚の種類・餌・捕食方法|羽干し・コロニー・被害まで

川や池、ため池、河口の近くで、黒っぽい大きな鳥がすっと水に沈み、少し離れた杭や護岸の上で翼を大きく広げている。そう、それはカワウです。この鳥を見たときに、何の鳥だろう?何故ここにいるのだろう?この鳥は何を食べているのか?という疑問が浮かぶかと思います。そんなカワウを食べ物(餌・魚)を起点に、羽を広げる羽干し行動、コロニーの形成、鳴き声の特徴、出没しやすい時間帯、被害の出方までを研究と公的資料をもとに解説します。

まとめ

  • カワウは魚を主食とし、川・池・海を横断して採食する潜水型の鳥
  • 1日の行動は「ねぐら→採食→羽干し→帰還」でほぼ固定されている
  • 羽を広げるのは威嚇ではなく、濡れた羽を乾かす羽干し行動
  • 魚種ではなく捕まえやすさを優先するため、養殖池や堰下で被害が出やすい
  • 被害は採食地(食害)とコロニー(フン害・枯死)で別々に発生する
  • 同じ杭・木・堰を繰り返し使うため、定着すると被害が長期化しやすい
  • 朝は採食、昼は羽干し、夕方は帰還という時間帯を見れば行動が読める
この記事でわかること
  • カワウの食性と1日の行動パターン
  • 羽干し行動の意味と発生するタイミング
  • 被害が発生しやすい水域の特徴と理由
  • コロニー形成と被害が長期化する仕組み
  • 観察から行動ルートを読むためのポイント

カワウの一日を追う

カワウの一日

カワウの一日を把握するには、ねぐら・コロニー、採食地、羽干し・休息場所の三つをセットで考えると全体像がつかみやすくなります。

  •  ねぐらやコロニーで集団休息する
  • 朝から昼 採食地へ移動し、潜水して魚をとる
  •  近くの杭・島・護岸・立木などで羽干しと休息を行う
  • 夕方 再びねぐらへ戻る

水辺で目にする光景も、この流れに重ねると見え方が変わります。朝に複数羽が次々と潜水を繰り返す、昼になると同じ杭に集まって羽を広げる、夕方になると一定の方向へ飛んでいく。こうした繰り返しは、その場所が偶然の立ち寄り先ではなく、日常的な行動ルートに組み込まれているからです。

ねぐらの位置・繁殖地・そこからの行動半径まで合わせて見てはじめて、被害の対策を組み立てる事が出来るようになります。

カワウは何を食べる鳥か?

項目 押さえておきたい内容
主な食べ物(餌) 魚が中心。海水魚・汽水魚・淡水魚を季節や場所に応じて使い分ける
魚以外の記録 アメリカザリガニ・巻貝・エビ類なども記録されているが、あくまで副次的なもの
捕食しやすいサイズ 国内総説では体長およそ3〜30cmが一般的な範囲として整理されている
捕り方 水面から潜って魚を追う。潜水深は1〜9.5m前後、長い潜水では約70秒に及ぶ記録がある
1日の採食量の目安 野外推定で約500g。ただし気温・魚の逃げ場の有無・繁殖期かどうかで変動する

環境省の解説では、カワウは魚食性の鳥として明確に位置づけられています。沿岸の海水域から河口の汽水域、川や湖沼の淡水域まで幅広く利用できる点が大きな特徴で、海の鳥でも川の鳥でもなく、魚がいて潜って捕れる水辺であれば広く採餌を行う鳥です。ただし、魚しか食べないと断言するのは正確ではありません。国内研究をまとめた亀田ほかの総説では、消化管内容物としてアメリカザリガニ・巻貝・エビ類が確認された記録も整理されています。偶発的に取り込まれた可能性が高く、研究者の間でも食性の中心が魚である点に異論はありません。

食べる魚の種類は、好みより捕まえやすさで決まる

特定の魚種にこだわるというより、その場で捕まえやすく、まとまっていて、逃げにくい魚を効率よく利用します。環境省の研修資料でも、個体数が多く捕まえやすい魚が多く食べられるという整理が示されています。堰の下に小魚が溜まりやすい、養殖池で魚密度が高い、浅場で逃げ場が少ない、橋脚まわりに魚が集まりやすい。こうした条件が重なる場所ほど繰り返し利用されやすくなります。被害を生み出すのは魚の種類だけでなく、水辺の構造そのものです。

潜水して追い込む鳥だから、養殖池や堰の下では特に圧力が大きくなる

カワウの採食は、水面でついばむタイプではありません。潜水して魚を追い、捕食するタイプです。

カワウの駆除方法で触れていますがカワウは一般的には20〜30秒ほど潜水することが多いものの、状況次第では2分以上水中にとどまることもあります。潜水深度はおよそ45メートル近くに達する場合があると報告されており、遊泳速度は最大で約5m/秒に及びます。イワナやヤマメの最高速度が1.6~2.4m/秒で有る事を考えると、カワウから逃げることは出来ないため被害が拡大することも容易に想像できます。

そのため試験池で魚の逃げ場をつくると平均摂食量が大きく下がったという報告があります。

1日の採食量は約500g

環境省資料では飼育下で約330g、あるいは400〜620gという記録が示される一方、飼育環境は野外より採食しやすい条件であるとされています。野外推定では気温24℃前後で体重1kgあたり262gという数値が示されています。目安としてよく使われるのが、1羽あたり1日約500gです。被害額の試算にも用いられますが、あくまで推定値で、魚の逃避場所の有無・気温・繁殖期かどうかによって実際の量は変わります。繁殖期は雛への給餌が加わるため、採食地への負荷が大きくなりやすい時期でもあります。

狙われやすい水域の条件

カワウは海水域・汽水域・淡水域のいずれも利用できます。川に出たから川の問題、池に出たから池の問題と切り分けるより、周辺の複数の水辺を一つの行動圏として見るほうが実際の行動に即しています。カワウの通常の採食場所はねぐらから10〜15km程度とされる一方、地域や時期によっては40kmを超える移動も確認されています。目の前の水辺に繰り返し飛来していても、その起点となるねぐらが10km先にあり、複数の水辺を組み合わせて利用している場合があります。地図上でねぐら・コロニー・採食地をつなげて考えるだけで、飛来の理由がかなり見えやすくなります。

水域・場所の条件 カワウにとって有利な理由 池や川で見えやすいサイン
魚が高密度にいる 少ない潜水回数で効率よく採食できる 養殖池、放流直後の区間、堰下に魚が溜まりやすい場所
隠れ場所が少ない 魚が逃げ込みにくい 単調な護岸、浅場、障害物の少ない池
潜れる深さがある 追い込み型の採食を行いやすい 川幅のある区間、取水口周辺、深みのある淵
近くに休息場所がある 採食後すぐに羽干しと休息に移れる 杭、ブイ、テトラ、立木、島状の小林分
ねぐらやコロニーが近い 日常的な往復ルートに組み込みやすい 朝夕の飛来方向がほぼ一定、日をまたいで飛来が続く
魚がいて、潜れて、逃げにくく、食後に休める。この条件がそろった水辺は繰り返し利用される傾向があります。飛来数や魚種よりも、なぜその水辺が繰り返し使われるのかという構造から考えると、対策の方向性が見えやすくなります。

食害は川や池に、フン害は林に。被害が別々の場所に出る理由

カワウの被害が把握しにくいのは、被害が一か所にまとまって出ないからです。採食地では養殖魚や放流魚への直接的な食害が生じ、ねぐらやコロニーではフン害や樹木枯死が起きます。両者は数kmから十数km離れていることも珍しくありません。朝は河川や養殖池で採食し、昼は近くの杭で羽を乾かして休息し、夜は離れた林のねぐらへ戻る。この動きが続けば、川や池では食害の問題になり、林では景観や植生の問題になります。現場ごとに見ると別々のトラブルに映りますが、同じ群れの生活圏が分かれて表れているだけという場合も多いです。

カワウが羽を広げる理由

カワウの姿で最も印象に残りやすいのが、翼を左右に大きく広げてじっとしている羽干しです。威嚇しているようにも日光浴しているようにも見えますが、研究では羽や体表を乾かすための行動という見方が有力です。国外の研究によると、羽を広げる行動は入水後に出やすく、継続時間は入水時間と相関し、風が強いほど短くなる傾向が示されました。カワウ類の羽は完全な防水構造ではなく、濡れた羽は潜水時の浮力を下げる点で有利に働く面もあるため、潜ることと羽を乾かすことはセットになっているようです。

羽干しが出やすい時間帯と場所

カワウは昼行性で夜間は採食や移動を行わず、主に早朝に採食するとされています。沿岸部では潮汐の影響を受けますが、内陸の川や池では朝に潜水採食してその後に羽干しと休息へ移るのが一日の流れです。前述の観察記録では、羽干しが確認された上がり場の近くで採食していたことが示されています。羽を乾かしている場所は単なる偶然の休憩所ではなく、採食地に近い場所である可能性が高いです。杭・流木・テトラ・立ち枯れ木・橋脚まわりなど、少し高くて安定して立てる場所があると、そこでカワウは羽干しを行うようです。

コロニーと被害の長期化

カワウは単独で動く鳥ではなく、集団でねぐらを作り、条件が整う場所でコロニーを形成して繁殖します。ねぐらは夜間の集団休息場所、コロニーは密集して巣をつくり繁殖する場所を指します。カワウだけでなく、その他に集団で生活をする鳥類、例えばカラスやサギ類も基本的にねぐらとコロニーを形成します。ある地点が採食地として便利なだけでなく、休息地や繁殖地としても機能し始めると、飛来は持続・定着しやすくなります。初めは数羽で飛来し、その後次々と群れで飛来するようになり、群れがその場所を生活圏として定着した段階から対応が難しくなります。

コロニー形成のサイン

環境省の解説では、カワウの巣は枝・枯れ草・青葉などで作られる直径40〜60cmほどの皿型です。巣材の運搬は主に雄が行い、巣づくりは主に雌が担う傾向があります。日本野鳥の会によると、抱卵期間は25〜28日、巣立ちはふ化後47〜60日とされています。枝をくわえて同じ木立へ繰り返し通う個体が観察されること、木の下や地面が白いフンで目立ち始めること、朝夕の出入り個体数が急に増えること。こうした変化が重なりはじめたら、巣がはっきり見えていなくてもコロニーへの移行を疑うべきです。

カワウの繁殖期

カワウの繁殖は、一般的な野鳥のように短期間で終わるものではありません。むしろ一定の条件が揃うと長く続きやすく、その結果として個体数の増加や被害の拡大につながります。

基本的な繁殖時期は春から夏

カワウの繁殖は、目安として3月中旬から9月にかけて行われます。この期間は巣作りから育雛までが連続して進み、活動量も増えていきます。

  • 春:巣作りと産卵が始まる
  • 初夏:ヒナの育成が本格化
  • 夏:巣立ち個体が増えて群れが拡大

この流れの中で特に影響が大きいのが育雛期です。ヒナへの給餌が必要になるため、親鳥の採食回数が増え、同じ水域への出入りが頻繁になります。

地域によってはほぼ周年的に繁殖する

繁殖の時期は地域差が大きく、温暖な地域や餌資源が安定している場所では長期化する傾向があります。

  • 愛知県:冬から夏にかけて連続的に繁殖
  • 上野不忍池:年に複数回の繁殖ピークが確認される

このような環境では、繁殖が途切れずに続くため、個体数が徐々に増えていく構造になります。カワウの繁殖が長期化する背景には、いくつかの要因があります。

  • 魚などの餌が安定して確保できる
  • コロニーが維持されやすい環境がある
  • 気温条件が繁殖に適している

これらの条件が揃うと、繁殖を中断する要因が少なくなり、結果として長期間にわたって繁殖が続きます。カワウは絶滅危惧種に指定されそうになるほど一時数を減らしましたが、上記の条件が改善され急激に個体数を増やした過去があります。

繁殖期に被害が増える

繁殖期は単に個体数が増えるだけでなく、行動のパターン自体も変化します。

  • ヒナへの給餌で採食回数が増える
  • 特定の採食場所への依存が強くなる
  • 群れで行動する頻度が高まる

特に給餌期は、同じ場所を何度も往復するようになるため、局所的な被害が急激に大きくなります。

サギ類のコロニーがある場所は、カワウの進出候補地でもある

環境省では、コロニーやねぐらは水辺に接した場所に作られ、森林だけでなく岸壁・建造物・人工の巣台なども利用すると整理されています。サギ類と混在してコロニーを形成する例も多く、山梨県の調査でも水辺かつ樹上という条件がそろいサギ類のねぐらやコロニーと同居している地点が複数報告されています。特定の木立で鳥の出入りが増え、木の下に白い汚れが広がり始めたら、種類を問わず集団営巣の兆候として早めに確認することが有効です。

フンで林が変わる。水辺だけにとどまらない被害

コロニー周辺では、フンによる樹木枯死と景観の損失が起きます。愛知県の研究報告では被害が激しい地点で上層木だけでなく低木や草本層まで枯死し、裸地化が進行した事例が示されています。これにより林の植生構造そのものが変化し、水辺の問題だけではなく林地管理や景観保全の問題へ広がります。

一度できたねぐらは再利用される

前述の山梨県の調査では、ねぐらになった地点の多くが複数回にわたって利用されており、追い払いで一時的に0羽になっても再利用される確率が高いことが示されています。カワウには同じ枝・同じ杭・同じ堰の上に繰り返し集まる固執習性があるようです。

カワウの天敵

カワウには天敵がいないわけではありません。卵やふ化直後の雛はカモメ類・カラス類、巣立ち後の若鳥はワシ類・キツネなどによって捕食されます。カワウの営巣地は他の捕食者にとってはビュッフェのようなもので、親鳥が外的要因で巣を離れると、卵や雛が捕食されやすくなります。この段階を過ぎると自然界では天敵らしい天敵は存在せず、条件さえそろえば長期にわたって繁殖を続ける事が出来ます。

自然界では天敵はいませんが、人間がカワウにとって最大の天敵で、過去にカワウが激減したのも人間が原因でした。現在では数が増えすぎたのでカワウに報奨金を出している自治体も有り、カワウを間引いて個体数の管理を行っています。

鳴き声と時間帯。観察しやすいのはいつか

カワウは昼行性で夜間は採食・移動をしません。採食は主に早朝に行われ、沿岸部では潮汐の影響で時間がずれることがあります。河川や池で動向を把握したいなら、夜明けから午前中が本命です。昼に見られる羽干しや休息は、朝の採食行動の結果として現れています。カワウは常に鳴いている騒がしい鳥では無く、巣の中では響くような低い声や喉を鳴らす声を出す程度の鳴き声しか上げません。

カワウの被害を知るうえで見ておきたいことまとめ

  1. 採食後、どこで羽干ししているか
    羽を広げて乾かす場所がわかると、採食地や行動ルートが読みやすくなります。
  2. 夕方にどの方向へ戻っていくか
    ねぐらやコロニーの位置を絞るヒントになります。飛来地点だけでは見えない背景がここに出ます。
  3. 同じ杭、同じ木、同じ堰に繰り返し集まるか
    羽数より特定の場所への繰り返しの利用を記録しておくと、定着の兆候を早く拾えます。
  4. 周囲の木が白くなっていないか、枝を運ぶ個体がいないか
    コロニー化の初期サインは、巣そのものより前に環境の変化として現れます。
飛来頻度、近くに休息地があるかどうか、繁殖地があるかどうか。同じ羽数でも、これらの条件次第で採食地への影響は大きく変わります。カワウの生態の記事でもう少し詳しくカワウについてまとめているので見てみてください。