まとめ
- カワウの報奨金は全国一律ではなく、200円〜8,000円/羽まで大きく差がある(多くは500〜1,500円帯)
- 報奨金=捕獲への支払い/補助金=対策費の支援で役割が違う
- カワウは単独ではなく「鳥類」「その他鳥類」枠で扱われる自治体が多い
- 許可を受けた有害捕獲のみ対象で、自由に狩ればもらえるものではない
- 最短で確認するなら市町村の農林・水産・鳥獣害担当課に直接聞くのが確実
この記事でわかること
- カワウ対策に報奨金・補助金が出る理由と仕組み
- 報奨金と補助金の違いと対象(誰がもらえるか)
- 自治体ごとの金額差と実例(一覧表)
- 報奨金をもらうための条件と具体的な流れ
- 制度の根拠となる法律とお金の流れ
見出し
なぜカワウ対策にお金が出るのか

カワウ対策に公費が入る理由は2つあります。
ひとつ目は、被害が“継続型”で、自腹だと続きにくいことです。カワウの餌は魚で潜水して魚を捕食し、推定で「1羽あたり1日500g程度のエサを食べる」とされます。さらにカワウの生態の特徴として群れで行動し、ねぐら・コロニーを形成して広い期間に繁殖するため、河川や湖沼の内水面漁業にとって長期的な問題だからです。
ふたつ目は、対策が“広域型・計画型”で、連携が必要なことです。環境省と水産庁が「令和6年度からのカワウ被害対策の考え方」を示した資料では、従来の被害を与えるカワウ個体数を半減という目標が達成困難になった状況を踏まえ、令和10年度(2028年度)までに平成25年度水準から半減を目指すこと、広域協議会等を活用して戦略的に対策を実施することが示されています。
同資料では、令和4年(2022年)時点で被害を与える個体数が増加傾向で約4万2千羽になっている点も明記されています。
これらの理由により公金を入れて目的を達成しようというのがお金が出る仕組みです。
- 報奨金:主に捕獲という結果に紐づけて、猟師のカワウ駆除の費用捻出と動機づくりのためのお金です。
- 補助金:調査・体制づくり・追い払い・繁殖抑制・装備整備など、対策そのものを支えるお金です。
これらがカワウ対策に関しての報奨金と補助金の大まかな理解になります。
カワウの報奨金とは何か
カワウを駆除したら自治体によってはお金が支払われます、支払いは燃料費、弾の費用、猟師の稼働に対しての対価としての側面が強く、年金プラス報奨金で生活している猟師もいます。専業で若い人がカワウのみを狩って生活するというのは金額的に難しいですが、それでもカワウの駆除の動機になっていることは間違いありません。
報奨金は捕獲という結果への支払い
多くの自治体で使われる言葉は「報奨金」「奨励金」などで、設計としては「捕獲数(頭・羽)×単価」を上限に交付される形が多いです。たとえば岡山市は、鳥獣による被害防止のために捕獲者へ奨励金を交付し、カワウを対象鳥獣に含めた上で、有害鳥獣捕獲奨励金と捕獲促進奨励金を分け、条件により上限単価を定めています。
ここで大事なのは、報奨金が勝手に獲ったらもらえる賞金ではなく、あくまで許可や計画に沿った捕獲へのインセンティブとして設計されている点です。これはどこの自治体でも共通で、その自治体で捕獲許可を受けた有害獣対策実施隊の隊員に対して設定されている報奨金なのです。
カワウの報奨金を出している自治体一覧

念のため前提として押さえておきたいのが、カワウは完全に自由に狩っていい鳥ではないという点です。制度上は保護の対象に含まれており、いわゆるカワウは保護鳥」という扱いの中で管理されています。
カワウの報奨金はいくら?という問いには、全国一律の答えがありません。そこで、全国1,741の自治体の中で有害鳥獣捕獲報奨金交付要綱を出している自治体88件の情報からカワウに対しての報奨金を明示している自治体をすべてピックアップしまとめました。有害鳥獣捕獲報奨金交付要綱を出していない自治体が報奨金を出していないというわけではないので、必ず自分の住んでいるエリアの自治体に確認をするほうが良いと思います。
| 自治体 | 根拠カテゴリ | 金額 |
|---|---|---|
| 岩泉町 | カワウ | 8,000円/羽 |
| 南丹市 | サギ類・カワウ | 4,000円/羽 |
| 瀬戸内市 | カワウ等 | 2,000円/羽 |
| 飯南町 | カワ鵜 | 2,000円/羽 |
| 北杜市 | 鳥類 | 1,500円/羽 |
| 笠岡市 | 鳥類 | 1,500円/羽 |
| 鏡野町 | カワウ・サギ類 | 1,000円/羽 |
| 岡山市 | カワウ | 1,000円/羽 |
| 東広島市 | カワウ | 800円/羽 |
| 岡山市 | カワウ | 800円/羽 |
| 阿武町 | その他鳥類 | 400円/羽 |
| 鹿沼市 | 鳥類 | 200円/羽 |
一匹当たりの報奨金額が自治体によって大きく異なるのがわかると思います。高い金額を出している自治体にもっていけば儲かるんじゃなかろうか?と考えたあなた、そういうことは出来ないようになっています。有害獣対策実施隊は基本的に住んでいる自治体で任命されるもので(猟師が少ない場所では隣の自治体に住んでいる人も任命されることもあるようですが)、というのも猟友会に入っている前提での制度設計で、報奨金が高いからといって任命を受けていない岩泉町にカワウを持って行っても報奨金は貰えません。
報奨金付きの「有害捕獲」と、趣味・猟期の「狩猟」は別物
カワウを駆除すればお金がもらえるの?と誤解が起きやすいポイントなので、いったん整理しておきましょう。
- 鳥獣保護管理法では、鳥獣の捕獲等は原則禁止で、例外として「狩猟(猟期・狩猟鳥獣・法定猟法)」や「許可捕獲(有害捕獲等)」があります。環境省の解説ページがこの整理を明確に示しています。
- カワウは環境省の「狩猟制度の概要」で、狩猟鳥獣(鳥類26種)のひとつとして明記されています。
- ただし、猟期以外に銃器等で捕獲する場合は、(一般に)有害鳥獣捕獲等の許可が必要です。
報奨金は、このうち 許可捕獲に関して支払われるもので通常の狩猟に対して払われるものではありません。有害鳥獣捕獲許可を年中出している自治体だと狩猟期間中にカワウを狩った場合、許可を持っている猟師に対して報奨金が支払われますが、これは狩猟ではなく有害獣駆除を行ったという枠組みの中での物です。
報奨金を貰うための流れ
自治体で細部は違いますが、大体以下のようなパターンになってます。
まず猟師に捕獲許可が交付されます、私の住んでるエリアでは毎月許可証が送られてきます。その許可証には「種類・期間・区域・捕獲方法等の要件」が書かれており、その要綱に沿ってのみ捕獲ができます。罠捕獲と書いてあるのに銃を使った捕獲はできない点に注意が必要です。
この許可を得るには害獣対策実施隊に任命されることが必要で、自治体によって要件が異なります。基本的に猟友会所属じゃないと駄目ですとしているところが多いと思われます。
許可をもらったら駆除を行います。単純に駆除を行うだけでは報奨金は貰うことができず、駆除したという証拠の提出が義務付けられています。イノシシのような大型の獣だと、体に定められた色で番号を書いた写真を撮ったり、捌く前に自治体職員との立ち合いが必要だったりします。鳥類の場合は基本的に足を切り取って持っていく感じですね。
駆除確認が済んだら指定した銀行口座にお金が振り込まれます。振り込みは月締め月末払いや、月締め15日払いだったり自治体によって異なります。
カワウの補助金とは何か
カワウには報奨金とは別に補助金も設定されていることが多いです。報奨金は駆除に対してのお金で補助金は直接的な駆除ではなく、対策に要する費用の補助という感じのお金です。
補助金で何ができるか
補助金でできることは、制度ごとに違います。ただ、近年だとICT・IoT関係の補助金が多いです。
補助対象の具体例として、個体群管理では「銃器等による捕獲駆除」「産卵巣へのドローンでのドライアイス投入等による繁殖抑制」「営巣木へのテープ張り」、被害防除では「漁場へのテグス張り」「追い払い」等に使用する委託費、謝金、賃金、資機材費、消耗品費、保険代が対象です。
まずは自地域の要綱・手引きで、対象経費の書き方を確認するのが最短です。
カワウ対策の報奨金・助成金はどこから来ているのか
カワウ対策に使われているお金の大元は国民の税金です。そしてその税金は、法律に基づいて制度化され、国から自治体へ、さらに現場へと段階的に流れる仕組みになっています。
つまり、現場で見える「報奨金」は単独で存在しているものではなく、国の政策と行政システムの末端にある支出だという理解が必要です。
財源は国の一般会計(=税金)
カワウ対策の財源は、特別な基金や民間資金ではなく、基本的に国の一般会計です。これは、所得税・消費税・法人税などで構成される、いわゆる国の本体予算です。
- 国民が税金を納める
- → 国の予算として編成される
- → 農林水産省・環境省・水産庁に配分
- → 鳥獣被害対策として支出
なお、実際の運用では、国の補助に加えて都道府県や市町村が独自に予算を上乗せすることもあります。そのため、地域ごとに報奨金の額や制度内容に差が出ます。
どの法律で決まっているのか
カワウ対策は、主に2つの法律によって支えられています。
鳥獣被害防止特措法
正式名称は「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」です。
- 市町村が「被害防止計画」を作る
- 国がその計画を支援する
- 計画に基づいて補助金が出る
ここで重要なのは、計画が前提であることです。個人が勝手に駆除したからお金が出る、という仕組みではありません。あくまで自治体の事業として実施された対策に対して予算が付く形です。
鳥獣保護管理法
正式名称は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」です。
- 鳥獣は基本的に保護対象
- 被害がある場合は管理(駆除)が可能
- 個体数調整や生息管理を制度化
この法律の考え方は、「むやみに駆除するのではなく、必要な範囲で管理する」というものです。カワウ対策も、この枠組みの中で実施されます。
誰が決めているのか
制度そのものは国が設計していますが、実行は複数の層に分かれています。
- 農林水産省:被害対策の制度設計
- 水産庁:内水面漁業への影響対策
- 環境省:鳥獣管理のルール
- 都道府県:広域調整・配分
- 市町村:計画作成・事業実施
- 現場:漁協・猟友会・実施隊など
つまり、国が方向と制度を決め、自治体が事業化し、現場が実行するという構造になっています。
自分の地域情報の見つけ方
基本的に自治体が有害鳥獣捕獲報償金交付要綱のページで対象の鳥獣の報奨金についてのルールを明文化しています。ウェブサイトに載っていない、見つけずらい場合は市町村の担当課(農林・水産・鳥獣害担当)にカワウは奨励金の対象か聞いたほうが早いです。
最後に「よくある疑問」
Q:報奨金は全国どこでもやってる?
A:やっていない地域もあります。そもそも対象鳥獣にカワウを入れていない場合があります。
Q:補助金は個人でももらえる?
A:制度次第ですが、県単のカワウ補助金は「漁協」「漁連」「知事が認める団体」など、組織主体になりやすい設計です。
Q:「1羽いくら」はどう決まる?
A:公表資料ベースでは、予算枠の中で上限単価を設定する形が多いです。
Q:報奨金だけでガソリン代や弾代がペイする?
A:地域・単価・捕獲方法・移動距離で変わります。少なくとも同じ“カワウ”でも単価は一様ではありません。収支判断は自地域の単価と運用(いつ支払われるか、上限はどこか)を確認してからが安全です。
Q:どこに相談すると一番早い?
A:捕獲許可と報奨金は市町村担当課が窓口になってます。一方で、補助金は県・漁協が握っている場合があります。市町村に聞いてください。
まとめ
カワウの報奨金と補助金は、どちらもカワウ被害を減らすという同じ目的のために使われますが、役割ははっきり分かれています。報奨金は捕獲という結果に対して支払われるお金で、猟師や実施隊の稼働を支える仕組みです。一方の補助金は、追い払い、繁殖抑制、調査、装備整備、体制づくりなど、対策全体を支えるためのお金です。
結局のところ、自分の地域でカワウに報奨金が出るのか、いくら出るのか、補助金は個人に出るのか団体向けなのかは、その自治体や県の要綱を確認しないと正確にはわかりません。最短で知りたいなら、市町村の農林・水産・鳥獣害担当課に「カワウは対象か」「単価はいくらか」「許可の条件は何か」を直接確認するのが一番確実です。



