カワウの基本プロフィール・生態・寿命編

まとめ

  • カワウは魚を食べる大型の水鳥で、日本全国の水辺に広く生息する
  • 潜水・群れ行動・羽を干す習性が特徴で、生活スタイルがはっきりしている
  • 川・湖・港など環境への適応力が高く、広い行動範囲を持つ
  • ねぐらやコロニーを中心に集団で生活し、群れ単位で影響が出やすい
  • 魚を効率重視で捕るため、条件の良い場所に集中しやすい
  • 見た目は黒く細長い体型で、水面ではやや沈み気味に浮くのが特徴
  • 個体数の増減は繁殖と広域移動が重なって見える現象である
この記事でわかること
  • カワウがどんな鳥なのか、見た目と行動の特徴から理解できる
  • 川・湖・港などでの暮らし方や行動パターンがわかる
  • 潜水・飛び方・群れ行動などの具体的な習性がイメージできる
  • 巣や繁殖、寿命など生態全体の流れがつかめる
  • なぜ各地で問題になりやすいのか、その背景が理解できる
  • 個体ではなく群れとして見る必要がある理由がわかる

カワウってどんな鳥

カワウ羽を乾かす

カワウの食べ物は魚で潜水して捕食する大型の水鳥です。日本では北海道から沖縄まで広く見られ、川だけでなく、湖、ため池、港、河口、海辺まで、かなり幅広い場所で生活しています。名前に川と入っていますが、実際には水があって魚がいる場所ならどこでも生息できます。

この鳥をひとことで説明するなら、潜る鳥、群れる鳥、羽を干す鳥です。カワウらしさはこの3つにかなりよく表れています。水に潜って魚を追い、集団でねぐらや繁殖地をつくり、狩りのあとには翼を大きく広げて乾かす。この一連の姿を見れば、初めて見る人でも、なんだか普通の水鳥とは違うなと感じるはずです。

特に羽を広げてじっとしている姿は印象的ですが、あれは単なる癖ではありません。カワウの羽は、カモ類のように強い防水性でしっかり水をはじくというより、ある程度は水を含みやすい性質があります。そのぶん水中で浮きにくく、魚を追いやすいという利点があるわけです。つまり、羽を乾かす行動は不思議な仕草ではなく、潜水生活に向いた体のつくりの延長線上にあります。

この鳥が各地で問題になりやすいのも、この生き方と無関係ではありません。魚を食べる、広い範囲を移動する、しかも群れで集まる。すると、ある場所だけの話では終わらず、被害や印象が一気に広がりやすくなります。カワウを理解するには、見た目だけでなく、群れで動く鳥だという前提を持つことが大切です。

見た目でわかる特徴

カワウは、全体に黒っぽく見える大きめの水鳥です。体長はおよそ80〜85cmほどで、身近な水辺の鳥としてはかなり存在感があります。体重はだいたい1.5〜2.5kgほどで、オスのほうが少し大きい傾向がありますが、野外でぱっと見て雌雄を見分けるのはまず難しいです。

体つきでまず目につくのは、首が長く、尾も長めで、全体に細長く見えることです。丸っこい水鳥というより、前後にすっと伸びた形をしています。この細長いシルエットは飛んでいるときにもはっきり出ます。

くちばしは長くて先がやや曲がり、魚をつかむのに向いた形です。やさしい顔つきというより、道具としての機能が前に出た顔つきといったほうが近いでしょう。魚食性の鳥らしい、無駄のない形をしています。

繁殖期になると見え方が少し変わるのも特徴です。頭や腰に白っぽい羽が出て、目の下の裸出部が赤みを帯び、季節によってかなり雰囲気が変わる鳥です。

もうひとつ大事なのが、水面での見え方です。カワウは体がやや深く沈んで見えます。これは体が重いからというより、上述の羽毛の撥水性の問題で、水を吸収しやすい羽毛を持っているため浮力を得られず沈み込むことが要因です。カモのように水面に軽く浮いている感じではなく、少し沈み気味で浮いている感じです。この見え方は野外識別でもかなり役立ちます。

ただし、見た目で注意したいのがウミウとの違いです。カワウとウミウは非常によく似ていて、慣れていないと識別が難しいです。しかも環境によっては両方が近い場所に出ることもあるため、黒いウっぽい鳥がいたから全部カワウと決めつけることは出来ません。顔の裸出部の形や生息場所まで含めて総合的に見るほうが確実です。

川や湖や港での暮らし方

カワウは、かなり融通の利く魚食性の鳥です。川、湖、ダム湖、ため池、河口、港、沿岸部まで、生息できる環境の幅が広く、淡水でも海水でも生活できます。だからこそ、カワウ対策は特定の川だけは無く、地域全体の対策として取り組む必要があり、行政、漁協の協力がなければ難しいという実態があります。地域によってはカワウに報奨金のような制度が設けられることもあり、対策は個人ではなく地域単位で進められる傾向があります。

一日の行動パターンとしては朝から日中にかけて採食し、夕方から夜にかけては集団でねぐらに戻るというパターンが基本です。単独で魚を捕ることもありますが、群れで動いている場面のほうが多いかもしれません。

ここで出てくるのが、ねぐらとコロニーという言葉です。ねぐらは夜に集団で休む場所、コロニーは集団で繁殖する場所です。実際には、繁殖期以外もそのまま集団の拠点として使われることが多く、ただの寝床というより、生活の中心地になっていることが少なくありません。

この集団性は、カワウを見るうえでいちばん大事なポイントのひとつです。数十羽くらいの規模なら珍しくありませんし、場所によってはもっと大きな群れになります。個体として見ると一羽の鳥ですが、現場で問題となるのはたいてい群れ単位です。だから、人間側からすると一気に多い、一気に食べられる、一気に汚れる、という印象になりやすいわけです。

なぜここまで群れるのかというと、休息場所を共有しやすく、移動もまとめて行いやすく、条件のいい採食場所を複数で使えるからです。鳥にとっては合理的な行動ですが、人間にとっては局所的な圧が急に高まる要因になります。放流地点や漁場の近くで群れが入ると、被害感が強く出るのは当然です。

行動範囲は半径10キロ~30キロと広く、ねぐらと採食地を日常的に行き来していて、近い場所だけで行動するとは限りません。普段は比較的近い範囲を使っていても、エサが少なくなるなど条件が変わればかなり遠くまで飛ぶことがあります。現場では昨日はいなかったのに今日はまとまって来た、追い払ったはずなのに別方向からまた入ったということが起こります。これは行動圏が広く、複数の拠点を使い分ける鳥であることが要因なのです。

食べるものも柔軟で、アユ、ウグイ、コイなどの在来魚だけでなく、その場で捕まえやすい魚を幅広く食べます。カワウの駆除方法について説明している記事でも触れていますが、カワウには一定の「魚種選好性」が存在するようです。とはいえ、カワウは基本的に採食効率を重視するため、捕獲しやすい魚を優先的に狙う傾向があります。

この点は大事で、カワウは気まぐれに魚を食べているわけではありません。効率で動いています。だから魚が集まりやすい場所、放流魚がいる場所、逃げ場の少ない水域には自然と来やすくなります。人間から見ると執着しているように見えても、鳥の側からすれば合理的な選択をしているだけというわけです。

飛び方と移動

カワウの飛び立ち方は、海ガモ寄りで、水面から飛び上がるときは垂直に飛び上がるのではなく、水面を足で蹴りながらバシャバシャと助走するように飛び立ちます。初めて見ると少し不格好にも感じますが、これはカワウの足が体の後ろ寄りについており、水中向きの体であることが原因で、重い体を持ち上げるには一定の助走が必要であるからです。

飛んでいるときは、首を前に伸ばし、細長いシルエットになります。サギのように首をたたんで飛ぶ鳥とは印象が違い、前後にまっすぐ伸びた姿がよく目立ちます。群れで飛ぶときは列をつくることもあり、一直線や緩い隊列のような形になることがあります。

巣と繁殖

カワウ群れ

カワウは単独でひっそり繁殖する鳥ではありません。集団で巣をつくり、まとまって繁殖します。その場所がコロニーと呼ばれます。水辺に接した林、島、岸壁、人工構造物など、集団でまとまって使える場所なら意外といろいろな環境を利用します。

巣は枝などを積み上げた皿のような形で、大きさはおおむね40〜60cmほどです。近くで見る機会は多くありませんが、思ったよりしっかりした作りをしています。大きな群れが同じ場所で営巣すると、樹上や斜面が巣で埋まるような景観になることもあります。

繁殖の時期は地域や環境によってかなり差があります。春の鳥というイメージで片づけにくく、条件がよければ繁殖期間が長くなります。卵の数はおおむね3〜6個くらいで、抱卵期間は25〜28日ほど、ヒナがかえってから巣立つまでは47〜60日ほどがひとつの目安です。ただ、これはあくまで目安で、場所や個体群によって幅があります。

コロニーでの繁殖が終わったあとも、ねぐらとして使われることが多く、集団生活の拠点になり続ける場合があります。つまり、巣がある場所は、その季節だけの問題ではなく、年間を通じて鳥が集まりやすい場所になりやすいのです。

この性質が、人間との摩擦を長引かせます。糞がたまり、枝が折れ、巣材採集や踏みつけで樹木が弱り、植生が変わっていく。さらに人家や公園に近い場所では、鳴き声や臭いも問題になります。コロニーができると景色が一変するのは珍しくありません。

ただ、ここも単純に悪いことばかりではありません。カワウは水域で得た栄養を陸上に運ぶ役割も持っています。短期的には樹木への負荷が強く出ても、長い目で見れば土壌に影響を与え、生態系の物質循環に関わる面もあります。人間の都合から見れば困る場面が多いのは事実ですが、生きものとして見たときに、自然の輪廻の一部として大切な役割を果たしているのです。

寿命と個体数の増え方

カワウの寿命は環境に大きく依存するので、平均的にどのくらい生きるかと、最長でどれくらい生きた記録があるかを分けて考える必要があります。

平均的な生存期間としては、それほど長生きな鳥というわけではありません。平均は一般的に3~4年とされていますが10年以上生きる個体も確認されています。生息環境がカワウの寿命に影響が与えているようです。

では、なぜ地域によっては急に増えたように見えるのか?これは寿命云々の話ではなく、繁殖と移動が重なるからです。毎年ものすごく増えるという単純な話ではありませんが、条件のいい場所で繁殖が続き、そこに広域移動が加わると、ある地域で急に多く見えるというのがこの現象の背景にあります。

日本のカワウは絶滅危惧種に指定されてもおかしくないレベルまで数を減らした時期がありました。河川環境の悪化や化学物質汚染などの影響で、1970年代には個体数が大きく落ち込んだとされています。その後、水質の改善や環境の変化によって回復し、分布も再び広がりました。

この回復自体は自然回復の一面ですが、同時に各地で漁業被害や糞害、植生被害が目立つようにもなりました。つまり、減っていた鳥が戻ってきた結果、人間との距離がまた近くなったわけです。カワウの話が近年よく出るのは、単に鳥が増えたからというより、潜る、群れる、広く動くという性質が、人の生活圏や利用空間とぶつかりやすくなっているからです。

まとめ

カワウは見た目こそシンプルな黒い水鳥ですが、その生態はかなり特徴的です。魚を追うために潜水に適応した体を持ち、広い範囲を移動しながら、ねぐらやコロニーを中心に集団で生活します。羽を広げて乾かす行動や、水面を走るように飛び立つ姿も、すべてこの生活様式から生まれたものです。

また、カワウは特定の場所にとどまる鳥ではなく、10〜30km以上の範囲を日常的に移動するため、ある地域だけの問題として完結しません。魚が集まりやすい場所には効率を重視して入り、群れで行動することで影響が一気に大きくなるのが特徴です。

個体として見ると一羽の鳥ですが、実際に問題になるのは群れ単位の行動と広域移動です。この点はカワウ対策にとって重要な点であるといえます。