Slingshotrifle

スリングショットの替えゴムの選び方

スリングショットのゴム選びは、スリングショット本来の力を引き出すためだけでなく、精度にも大きな影響を与えるという意味で非常に重要です。玉の重さ、自身の撃ち方、ゴムの材質、長さ、厚さ等様々な要素を考慮した上で使用ゴムを選ばなければ、初速が伸びない、ゴム切れがすぐ起こる、ハンドスラップ等の問題が起きます。このページではスリングショットの替えゴムをどのように選べばよいのかを詳しく説明いたします。

ゴムの材質

スリングショットのゴムの材質はラテックスかシリコンゴムが主流で、大半の製品はこのどちらかのゴムを使用しています。初速はラッテクスのほうが速く、シリコンの方が若干遅くなりますが致命的な差はありません。以下がスリングショットに使われるラテックス、シリコーンゴムの材質の特徴です。

ラテックスシリコーン
初速速い若干遅い
耐候性紫外線に弱い紫外線に強い
ゴム伸び率600%程度500%前後
耐久性高い傷つきやすい

ゴムアレルギー以外の方はシリコーンを使う理由はあまりないといえます。ラテックスの中でも配合の違いで様々なタイプのゴムがありますが、スリングショットに使われるゴムの種類は、生ゴムを多く含むアメゴム(飴色のゴム)と、それ以外のゴムに大別されます。

アメゴムは伸びも初速も最も良く、引きも軽いためスリングショットに理想的なゴムですが、耐候性が著しく低く、太陽に2週間程度さらすと使用できないくらいゴムの劣化が進むため、経済的にはお勧めできないゴムです。

スリングショット用ゴムの種類と特徴

スリングショットゴムの種類

スリングショットのゴムは形状の違いで大きく平ゴムと丸ゴムの二つに大別されます。平ゴムとは、その名の通り平たいゴムの総称のことで、日本以外でのスリングショット愛好家の中では広く普及しているゴムです。丸ゴムはチューブ形状のゴムの事を指し、スリングショットファルコンやコブラといった防犯用のスリングショットによく使われているゴムです。この二つの形状による違いは性能の差を大きく分けるもので、どちらを使用するかはその人がどの特徴を重視するかによって異なります。

平ゴム丸ゴム
初速速い遅い
対候性同じ同じ
ゴム伸び率同じ同じ
耐久性低い高い
引きの重さ軽い重い

初速は平ゴムのほうが高く、一方で丸ゴムの耐久性は平ゴムよりも高くなります。初速と耐久性には反比例の関係が存在します。これは初速が速くなれば速くなるほどゴムへのダメージが大きくなり、初速の速い平ゴムの方が耐久性(使用回数)が低くなるためで、材質や構造的に平ゴムの耐久性が劣っているということではありません。また初速も丸ゴムであっても径の異なるゴムを組み合わせることで平ゴム並みの速度を出すことが可能なゴムも存在するため、一概にどちらのゴムが良いとは言い切れないのが現状です。

しかしながら、一般的な話をするならば、丸ゴムの使用はゴム交換を頻繁に行いたくない人にお勧めのゴムで、平ゴムは筋力に自信がない方や、とにかく初速が速いゴムを使用したい方にお勧めのゴムとなります。

平ゴムと丸ゴムの精度の違い

平ゴムと丸ゴムとでは命中精度に違いはあるのか?に関しては国外フォーラムでよく議論される話題ですが、個人的な意見を言えば使用者の技量と筋力によると思います。丸ゴムは引きが重いので筋力のある人でなければ腕が震えるためどうしても精度は落ちます。丸ゴムを使用できる日本で人気のファルコンシリーズを使用した感想ですが、日本人の筋肉ではある程度筋トレを行わないと扱えないというのが私の感想です。細めの丸ゴムを使用できれば精度を上げられると思いますが、ファルコンやコブラといったスリングショットで使えるゴムの中に細めの丸ゴムは存在せず、精度を出すためには自身を鍛える以外方法が無いというのが丸ゴムタイプのスリングショットを使用してきた私の感想です。

ゴムの違いで選ぶスリングショット

スリングショットで使用できるゴムはスリングショットの形態で決まっています。平ゴムを使用できるスリングショットは平ゴムを挟むための機構を備えており、大抵の場合丸ゴムを使用することは出来ません。逆に丸ゴムを使用できる大抵のスリングショットは平ゴムを使用できません。スカウトXTなど一部のスリングショットでは丸ゴムと平ゴムを使用できる物もありますが、ループ状になっている丸ゴム以外は使えなかったりするので注意しましょう。また、ファルコンやコブラといった日本で販売されているフォークが棒状になっているスリングショットの場合、交換用のゴムが専用品以外使えないので、長く使うのであれば割高になることも注意してください。平ゴムを使用のスリングショットはこちらがお勧めです。丸ゴム仕様のスリングショットをお探しの方はこちらのスリングショット通販店比較の記事を参照ください。

スリングショット用ゴムの強さと初速の関係

直感的にスリングショット用のゴムを厚く強いにすれば初速が速くなるだろうと考えてしまいますが、実はゴムの強さと初速に相関はありますが比例関係にはありません。ゴム伸縮速度はゴム自体の断面積が小さければ小さいほど、加速距離が長ければ長いほど速くなります。これは、ゴムの断面積が大きくなるとゴム内部での内部摩擦が大きくなり、その分初速が落ちるためです。丸ゴムと平ゴムの初速の違いはこの内部摩擦が起因しており、丸ゴムが平ゴムより初速の点で劣るのは、構造的に丸ゴムのほうが内部摩擦が大きくなるためです。言い換えれば丸ゴムは摩擦が大きいためエネルギー変換効率が低いと言えます。

しかしながら、ゴムの強さが初速に比例しないからといってゴムを厚くすることに意味がない訳ではありません。

ゴムの厚さと玉重量

原則的にはゴムが戻る速度は薄いものほど速いという事実は変わりませんが、ゴムの厚さ/強さは使用する玉の重量によって最適な厚さというものが決まっています。これが最適でなければ引っ張られたゴムが放出する運動エネルギーが無駄になったり不足したりするため、精度が出なかったり後述するハンドスラップという現象が起こります。

平ゴムの厚さと最適玉サイズ
厚さ(mm)玉サイズ(mm)
0.47~7.5
0.457.5~8
0.57.5~8
0.558~8.5
0.68~8.5
0.658.5~9
0.78.5~9
0.759~9.5
0.89~9.5~10
0.859~9.5~10
1.009~9.5~10
1.210~11~12
1.510~11~12

*玉サイズはスチール弾に対してのものです

丸ゴムのサイズと最適玉サイズ
サイズmm玉の大きさ(mm)
16328
16368-8.5
20408.5-9
18429-9.5
17459.5-10
205010

*丸ゴムのサイズは最初の二桁が内径を、後ろに桁が外径を表しています。(例、1632は内径1.6㎜外形3.2mm)

ハンドスラップ現象

ハンドスラップとはゴムが放出する運動エネルギーに対してスリングショットの玉の重さが軽すぎるときに発生する現象で、放ったゴムが反動で戻ってきて自身の手を叩く現象の事を指します。例えば平ゴムの1㎜の厚さのゴムで8mmの球を使用すると、ゴムの厚さに対して玉の重さが軽すぎるためハンドスラップが発生し、痛い思いをする事となります。また、エネルギーが重さに対して過分な場合、ゴムの軌道が安定しないため、精度も落ちてしまいます。

スリングショットのゴムの性質

スリングショットのゴム選びで考慮すべきゴムの性質として挙げられるのが、気温の差による初速の変化です。ゴムはゴム自体の温度が高ければ高いほど収縮速度が速くなる性質があり、同じゴムでも夏季に使用する場合と冬季に使用する場合では後者の方が初速が遅くなります。一般的なゴムだと氷点下で使用する場合と、20度前後の気温で使用する場合の初速の違いは20m/秒程度となり、狩猟用としてスリングショットを使用する場合は威力不足になる可能性があります。しかしながら以下の2点で対応は可能です。

  • 夏季よりも厚いゴムを選択すること
  • 懐でゴムを温めておく

夏よりもo.1ミリ程厚いゴムを使用し撃つ直前までスリングショットを外気にさらさないよう懐に入れておくことで、初速の劇的な減少をある程度防ぐことができます。また、外気温の低い冬の使用を前提として作られたゴムも有るので、冬でもスリングショットを楽しみたいという方はこちらの冬用スリングショットゴムの使用をお勧めします。ただし、冬用のスリングショット替えゴムは弾力性に乏しく、硬いため使用可能回数は通常のゴムよりも低いので、その点は留意してください。

初速と温度

ゴムの性質としてゴムは引っ張られた時にに加えられた力を熱エネルギーに変換します(科学的には正しい言い方ではないですが)。上記で説明しましたが、温度が高ければ高いほど初速が速くなるため、熱エネルギーが外気に奪われる前にゴムを放したほうが初速が高くなり、引いたままの状態でいるとどんどん初速が遅くなっていきます。この温度変化による初速の変化は長距離で的を狙う際に非常に厄介な性質で、ゴムをどれくらいの時間で引いて離すのかを自身でコントロールする必要があります。スリングショットの弾道は山なりなので、同じ距離の的を狙う場合、初速が速いほうが弾道の高い部分と低い部分の差が小さくなり、初速が低ければ高低差が大きくなります。つまり、ゴムを引いている時間が長ければ長いほど初速が落ちるので、狙いを上方向にずらす必要が出てくるという事です。したがって、スリングショット上達の近道として、毎回同じ間隔でゴムを離す癖をつけることが重要となります。

撃ち方の違いによるゴム選定の違い

スリングショットでのゴムの厚さは玉の重さと外気温で、ゴムの種類は何を重要視するかで変わると説明を致しましたが、ゴムの能力を100%出してあげるにはゴムの伸び率と長さも考慮しなければなりません。これは自身の撃ち方によって変わるのでご自身がどのような撃ち方をするのか確認をしてみてください。

スリングショット撃ち方とゴム長さ

ゴム長さと伸び率

ゴムの伸び率とはゴムの元の長さを10cmとした場合、伸び率500%で50cmとなります。ゴムによって違いますが、大体のスリングショット用ゴムだと伸び率が500~600%で最高速が出るようになっています。すなわち、ショートドローの撃ち方をするのであれば、元々のゴムの長さが13.3CM~16cmが最適な長さとなります。初速の伸びが悪いと感じている方は、現在お持ちのスリングショット用のゴムの長さを撃ち方に合わせてカットして使用してみてはいかがでしょうか。

当店ではテーパー加工済みのショートドロー用スリングショットゴムと、ミドルドロー用スリングショットゴムを扱っておりますので、9㎜弾用に最適化されたゴムをお求めの方はお買い求めいただけますと幸いです。

テーパー加工

スリングショットライフル 販売 ゴム

テーパー加工とはゴムを先細り形状にする加工のことで、この加工によって平ゴムの初速を上げることができます。上記で説明をしましたが、ゴムの伸縮速度はゴムの断面積が小さければ小さいほど速くなるので、その性質を利用するのがこのテーパー加工です。初速を上げるのに最も効果的な方法ですが、ゴムを先細りさせるということは初速を上げると同時に耐久性を落とす行為でもあります。過度に先細り加工を行い初速を上げると10発も撃てないような超速短命なゴムを作ることができますが、実用的ではないでしょう。自身でテーパー加工を行う場合どれくらいの初速で耐久性はどれくらいなのかバランスを考慮することが必要となります。こちらのサイトでゴムの長さ、テーパー具合を簡単に計算できるので、自作でゴムを作りたい方は参考にしてみてください。

スリングショット用ゴムの保存方法

ゴムは条件を整えて保存すれば2年ほどは問題なく使えます。ゴムが劣化するのは急激な温度変化、湿度、紫外線、酸化が主な原因です。これらを避けるために、スリングショットのゴムはジップロック等に乾燥剤を入れ、温度変化が少なく光の当たらない比較的涼しい場所に保管することで保管期間が伸ばせます。

ブルームとブリード

ブルームとはゴムの表面に粉が吹いたような状態になる現象を指し、ブリードとはゴムの表面が濡れた状態になる現象を指します。どちらも性能に影響は無く。ブルームの場合はゴムの劣化を防ぐ効果があるので、そういった現象に遭遇してもゴムを廃棄する必要はありません。ただし、ゴムの表面がべたべたする場合は劣化が原因なので新しい物と交換をお勧めします。

スリングショットのゴム交換方法

スリングショットの機構によってゴムの交換方法は異なりますが、ここでは当店が扱うスリングショットのゴム交換の方法を説明します。当店のスリングショットはゴム交換が容易に行えるようデザインされており、ゴムを挟み込む形で固定する方式を採用しています。ゴムを交換するにはまず本体のネジを緩めます。ネジを緩めるには十円玉がお勧めです。

スリングショットのネジ

ねじを緩めるとネジを押し込めるようになるので、ネジを押し込むとゴム固定部が開きます。

開いたゴム固定部にゴムを奥まで差し込みます。この時ゴムが最後まで入り斜めになっていないか確認をしてください。次にネジを再び締めなおせばゴムの取り付けは完了です。

Y字パチンコの替えゴム交換の方法

昔ながらのY字パチンコのゴム交換は少し手間がかかりますがゴム幅を気にする必要が無いので、どんな幅のゴムでも使用できるというメリットがあります。ここではOTT(Over The Top)オーバーザトップ方式での替えゴムの取り付け方法を説明します。

必要なものは替えゴムと平ゴム帯かゴムテグスです。

ゴムを取り付けたい位置に置きます。ゴム幅がフォークよりも広くても問題ありません。ゴムがフォークに対してまっすぐに配置されるよう調整してください。

平ゴム帯を親指で押さえます。

ゴム交換 親指で抑える

平ゴム帯を引っ張り、テンションをかけながら巻いていきます。テンションをかけながら巻くというのが肝要で、緩いとゴムのすっぽ抜けが起こるのできつく巻くようにしてください。

ゴム交換 ぐるぐる巻く

7~8回巻いたらギュッと引っ張りテンションをかけます。引きすぎると帯が切れてしまうので注意してください。

ゴム交換 きつく巻く

最後に端同士を固結びで二回結べば完成です。

ゴム交換 縛る

スリングショットゴムの通販店

スリングショットを通販で買えるサイトは当店のようなスリングショット専門店かアマゾン、楽天といったショッピングモールで購入が出来ます。ショッピングモール上のレビューを見るとゴムの厚さ、長さが正確ではない場合が有るようなので、注意してください。また、販売者の大半は中国業者なので品質も当たり外れが大きいようです。

まとめ

スリングショットのゴムは撃ち方、玉の重さ、何を重視するか、使用する時期によって最適なものが異なります。この記事を参考に自身に最適なスリングショットの替えゴムを見つけていただければ幸いです。もっと詳しくスリングショットについて知りたい方はスリングショットの知識を全て網羅したスリングショットのページをご確認ください。

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