スリングショットの玉の種類と目的別お勧めの弾
スリングショットに使用できる玉は様々なものがありますが、その玉の材質、形状、重さ、大きさで威力が大きく変わってきます。どんな玉があるのか、使用感や玉の重さ比較をご説明いたします。
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スチールカーボン球
スチール球はスリングショットで使用される弾の中でもっとも一般的な弾です。大きさは8mm~12mmが一般的で、的撃ち、防犯、狩猟用と様々な用途に使われています。スチール球のメリットはその頑強さにあります。ターゲットの後ろにバックストップを置いておけば容易に回収でき、またターゲットに撃ち当てても変形する事が無いため、拾えば繰り返し使用することができます。狩猟用の弾は破壊力が求められるため、重さが有る12mmのスチール球がよく使用されます。ただし、大きな球を使用するということはそれだけ強いゴムを使用しなければならないので、それなりの筋力が求められます。スチール球は真円度が他のスリングショット用の玉と比べて高いため、最も命中精度が高く、海外のスリングショットの大会ではスチール球が使用されています。スチール球のデメリットはその硬さゆえに跳弾する事です。硬いものに当たった場合、速度が7割で跳弾するという実験結果もあるので、跳弾に関しては気を付けなければなりません。
クレイボール
クレイボールは価格が一番安く、当たれば砕け散るので跳弾の心配がありません。雨が降れば砕け散ったボールも全て溶け流されるので環境にも優しい弾です。しかしながら、非常に軽く真円ではないので、正確な射撃を期待することはできず、10メートル以上になると的に当てることが難しくなります。大きいサイズ(17ミリ以上)のクレイボールであれば飛距離も出せるので害獣を追い払うのに使用できるでしょう。しかしながら、大きなボールを使用するには弾受けのサイズも大きくしなければらなず、スリングショットをクレイボール用にカスタマイズする必要が出てきます。
ビー玉
ビー玉はおもちゃ屋に行けば必ず売っている物で、一昔前はビー玉がスリングショットの弾の定番でした。ビー玉をスリングショットの玉として使うメリットは視認性の良さにあります。スチールや鉛玉と比べて非常に見やすいため、弾道の修正が容易なだけでなく、撃ち終わったビー玉の回収も容易です。さらに、ビー玉の真円度は高く、命中精度もスチールと比べて申し分ありません。しかし、比重が軽く威力が出ないので、狩猟用の弾としては向いていないと言えます。
鉛玉
鉛玉は一般的に手に入る球状のもの中では一番比重が高く、威力が一番高い弾になります。自由猟具のスリングショットで狩猟を行うハンターの中では、鉛玉を使用する方も多いようです。鉛玉の威力は高いのですが、デメリットとして鉛玉はスチール玉に比べて価格がやや高く、環境への影響もあるのでお勧め出来ません。また、鉛玉は固いものに当たるとすぐに変形するので、的撃ちには向いていません。ですので、鉛玉は狩猟専用と考えたほうが良いかもしれません。鉛玉の比重は重いので、狩猟用に使うのであれば10~11ミリが最適です。
石
石は拾えばタダなので、遊びでスリングショットを撃つ分には適している弾かもしれません。実際、小さな石はスリングショットの弾として世界中で使われてきた歴史があります。しかしながら、石の精度は低く的に正確に当てることはまず無理です。もし石をスリングショットの玉として使用するつもりであるなら、20ミリ以上のなるべく円形の物を使用すると命中精度がある程度出すことができます。石の形状が多少いびつでも、重さがある大き目の石だと精度への影響をある程度相殺してくれるため、大き目の石を選ぶことが肝要になります。大きな石を使用するには弾受けも大きいものを使用しなければならず、スチール弾を使用しているスリングショットのセットアップでは使用できません。また、フォークも広めのものでなければフォークにぶつけてしまう可能性があるので危険です。
ペイントボール用の玉
ペイントボールは海外で人気のペイントガンを使ったスポーツで、日本でもプレイできる場所が都市部にいくつかあります。ペイントボール用の玉の良い点は、当たった場所が一目でわかる点で、中身の液体も水性なので水で簡単に落とすことができます。また、跳弾もせず、たとえ人に当たったとしても怪我をさせません。デメリットは一度しか使えず、強く握りすぎると弾受けの中で潰れて中身が出てしまう点です。当たった場所がすぐわかるという点ではクレイボールも同じなので、的撃ちを楽しむのであればクレイボールのほうが良いかもしれません。
ナット
ナットは大量購入するとスチールボールよりも安い弾です。精度も威力もスチール球と比べて、10メートル程の近距離ではそれほど劣るものでもなく、価格重視で弾を選びたい方にはナットがお勧めです。ナットを弾として使用する際は、精度を出すためにナットのセンター部分の穴を弾受けの中心に持ってくるようにしましょう。
BB弾
プラスチック製のBB弾は非常に軽いため、初速は出せますがすぐに減速してしまうので、短距離のみの限定的な場面でしか使用できません。的撃ちにも害獣対策用にも使用できないので、スリングショット用の弾としては使い道がありません。
スリングショットの玉の形状と精度について
形状は弾道に大きな影響を与えます。しかし、比重が重ければ重いほど形状の弾道への影響が小さくなるため、変形した鉛玉の方が丸い石よりも精度が高くなります。球状ではない弾の場合、最初の数メートルは問題なく真っすぐ飛びますが、距離が長くなれば長くなるほど風の影響を受け、あらぬ方向に飛んで行ってしまいます。近距離での練習なら石でも問題ないと言えます。
スリングショットの弾の違いによる威力の違い
スリングショットの威力は玉の重さによって決まります。上記のスリングショット用の弾のサイズと重さ比較表を見ると、8ミリのスチール球は10ミリ鉛玉と比べて約三分の一の重さなので、仮に初速が同じだとしたら、10㎜鉛玉は8mmスチール弾の三倍の威力を有していることになります。狩猟用に使うのであれば威力の高い、重い鉛球を使用すればよいと考えてしまいますが、威力を重視し過ぎるのも問題です。確かに6ミリスチール玉程度の重さでは長距離の射撃には向いていませんが、14ミリの鉛玉ほどの重さも初速が遅くなるので向いていません。重い球で初速を出すには引きの強いゴムが必要になりますし、引きが強すぎると狙うことが難しくなります。つまり、自分に最適な重さの弾、ゴムのセットアップを目的によって選ぶことが最も大切な事と言えます。
市販のスリングショットの威力を知りたい方は、スリングショットの威力を実際に比較したスリングショットランキングのページをご覧ください。
目的別のスリングショットの玉
上述のようにスリングショット用の弾はサイズ、材質、特徴が異なる様々な物がありますが、狩猟用は重い球、的撃ち用には回収が容易な弾など目的別にどの玉を選べばよいか決めると良いでしょう。
的撃ち用
的撃ちならスチール、ビー玉、クレイボールがお勧めです。クレイボールならできるだけ大きいサイズを選ぶと若干命中率があるのでお勧めです。的を撃つときは必ず跳弾しないよう後ろにバックストップを用意することを忘れないようにしましょう。
遊びで使用する場合
森や人のいない場所を散歩しながら、その辺の物を撃って遊びたいと思っている人にはクレイボールがお勧めです。当たった場所が分かりますし、何よりクレイボールは環境に優しいのがお勧めする理由です。
狩猟用
鴨や雉といった大型の鳥類を狙うなら9~10mmスチール球、ムクドリやハトの駆除に使用するのであれば8㎜で十分です。ウサギなどの小型の小動物を狙うなら12ミリスチール球か10~11㎜鉛玉がお勧めです。玉の重さによって最適なゴムの厚さがあるので、スリングショットのゴム選びの記事を参考にしてみてください。
当店では狩猟用には9mmスチール弾をお勧めしており、9mm用にそれぞれのゴムの引き方に最適化してあるスリングショット用ゴム(ショートドロー用)とスリングショット用ゴム(ミドルドロー用)をご用意してあります。また、狩猟用のスリングショット通販も行っておりますので見ていってくださると幸いです。
害獣対策用
カラスの撃退など、害獣を追い払う目的なら大きいサイズの18㎜~20㎜のクレイボールがお勧めです。ある程度重さがあるので、遠くに飛ばすこともできますし、ある程度痛みを与えることが出来るので追い払いに効果的でしょう。
スリングショット用の玉まとめ
スリングショットでは様々なタイプの弾を使用できます。一番精度が高いのは真円に近いもので、弾の形や比重は精度に影響を与えるだけでなく、威力にも影響を与えます。威力を出すには単純に重い球を選べばよいという訳ではなく、自身が使っているスリングショットのゴムの性能に合わせて弾を選択する必要があります。また、目的合わせてどんな玉を使えば良いのかも変わってくるので、一概にどの弾が一番優れているという事は出来ません。